フランス新大統領夫妻への反応に見る仏社会の「女性観」

手をつなぐマクロン夫妻(Photo by Chesnot/Getty Images)

どの写真の中でも、どんな場面でも、常に彼の横にいる女性、彼のキャリアに深く関わり、彼がフランス大統領を目指すきっかけになったとされる「なくてはならないパートナー」──そう評されるブリジット・マクロンは、夫エマニュエルが仏大統領選の第1回投票で勝利したとき、誰よりも最初に感謝の言葉を贈った人物だった。

フランスで5月7日に行われた大統領選の決選投票に進むことが決まったとき、エマニュエル・マクロン前経済相は、「ブリジットがいなければ、私は今の私ではなかった」と述べた。すると、集まった支持者らの間からは「ブリジット」コールが起きた。

夫妻が2007年に結婚したときの証人でもあるマクロンの選挙顧問は、英インディペンデント紙に対し、「ブリジットの存在なしでは、マクロンはこの“冒険”に乗り出すこともできなかっただろう」と語っている。「彼女の存在は、彼にとって不可欠」だという。マクロンはすでに、大統領に就任すればブリジットを何らかの役職に就け、大統領夫人の地位を公式なものとする意向を明らかにしている。

「何も恐れない」女性

率直に物を言うブリジットは、細身でブロンド、日焼けした肌の上品で華やかな女性だ。ファッションショーの前列にも頻繁に姿を見せ、その様子はスタイリッシュなフランスの女性誌に掲載されることも多い。

仏レクスプレス誌はブリジットについて、「ミニスカートや超ハイヒール、ノースリーブ、革のパンツなんてもう無理だとは絶対に言わない女性」と評している。「何も恐れない」女性だという。

だが、そのブリジットを「更年期のバービー人形」と呼び、中傷する人たちもいる。悪く言う理由は主に、64歳というその年齢と、39歳という夫の若さだ。だが、夫妻の年齢差はドナルド・トランプ米大統領と妻メラニアと同じ。違いはただ、男性が年の離れた若い妻を持つことは有利に働くと見られる一方で、逆の場合は侮辱や悪ふざけ、不信感、批判の対象にされるということだ。
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編集=木内涼子

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