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図面を広げ、作業する以前の日本設計のオフィス。打ち合わせにも多くの紙資料とスペースを必要とした。

年々複雑化する仕事、人手不足、残業時間の増加……悩み多き「ものづくり」の現場を革新する試みを、建築業界に訪ねた。

建設業の労働環境は、業界内で「きつい、汚い、危険の3K」と自嘲的に表現される。

建築業界の中でも川上に位置する設計事務所でさえ、仕事場での拘束時間は長い。京王プラザホテル、新宿三井ビルなど超高層建築のパイオニアとして知られる設計業界最大手、日本設計の岩村雅人(プロジェクト管理部副部長 3Dデジタルソリューション室長)は「仕事が、“大・多・長”であるのが一因」と語る。

つまり、規模、金額、環境への影響が“大きい”、関係者や機関が“多い”、計画や建設、使用期間が“長い”、ゆえに「拘束時間の長大化」にならざるを得なかったのだという。例えば“長”であれば計画から着工までに10年、建物が使われる50〜60年先にどうなっているかまで予測しなければならない。

加えて仕事は年々複雑化し、情報共有が難しくなっているという。その一方で、人手は足りていない。就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」が発表した業界別残業時間ランキングによると、「建築、土木、設計、設備工事」業界は全体の3位、月平均70.8の残業時間だ。

この状況を打開するべく期待されているのが「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」。3Dモデルを使って平面図、断面図、パースを同時に作成し、見たい「形状」を容易に可視化できるツールだ。部材や機器の情報、風や日照などの環境情報、建設後の運用・メンテナンスに関する情報などを一元管理し、欲しい「情報」を的確に引き出せる。

BIMツールを開発するオートデスク日本法人・濱地和雄(WWSS AEC セールスディベロップメント エグゼクティブ)は「前もって情報を可視化することにより、手戻りを減らすことが可能です。業界全体に導入が拡大すれば、企業間での情報共有が進み、業務が大幅に効率化します」と語る。

日本設計は2014年に米オートデスクとパートナーシップ契約を結びBIMを本格導入。世界的にも都市開発規模でのBIMの活用事例は珍しく、新しい使い方を協働で模索している。

「新たにできることはいろいろとありますが、最大のメリットのひとつは関係者の連携を進めることによって“時間”を短縮できることだと考えています」(岩村)

例えばビルを建てる場合、組織設計事務所の仕事はデザインの提案だけでなく、建物の強度、電気系統、設備機器の選択などきわめて多岐にわたる。実際にビルが建った後のアフターフォロー、改修なども含まれる。

建築、構造、電気、設備、都市開発、インテリアなど、担当する分野ごとに部署が分かれているが、実際は部署間での協業が多い。例えばあるデザインを考案すると、建物の強度部分にも影響するため、常に連携して仕事を進める必要があるのだ。

BIM上ではすべてのデータが連携しているため、デザインを変更した場合にそれが構造にどのような影響を及ぼすかといったことがすぐに判断できる。これまで時間がかかっていた部署間のすり合わせやフィードバックの作業がデータ上で行えるため、場所や時間に必ずしも拘束される必要がなくなる。直感的に分かりやすい3Dで見える化できるため、建築の専門知識のない人や言語の異なる海外建築主へのプレゼンテーションも円滑に進む、という。

吉田洋平=文、岩坪文子=構成

 

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