「東京の価値を高める」 辻社長が語る森ビルのぶれない志

森ビル、辻 慎吾社長(佐藤裕信=写真)


街づくりの志──。辻は何度かそう口にした。志の象徴が、都市の調査研究を行う森記念財団だろう。

毎年、森記念財団が発表する経済や環境、文化、交通などをもとに都市の総合力を割り出した「世界の都市総合力ランキング」は、都市づくりや地域開発の指標であり、都市間の競争力を測る基準となっている。

東京の価値をどう高めるか。民間の1ディベロッパーという枠組みを超えた森ビルのぶれない志だ。「東京はビジネス拠点として、世界中の人々に選ばれる都市でなければならない。東京一極集中という声はあるが、本来地方と東京の発展は別の問題のはず」

「世界の都市総合力ランキング」で現在、東京はロンドン、ニューヨークに次ぐ3位。ロンドンは2012年のロンドン五輪に向け、数年かけてインフラや文化施設を再整備し、ニューヨークを抜き1位となった。

4月20日、松坂屋銀座店跡地に森ビルなどが手がける銀座最大級の複合施設がオープンした。商業施設とオフィス、さらに観世能楽堂や屋上庭園などが入る「GINZASIX」だ。

「3年後の東京五輪、そしてその先の未来に向け、世界有数の商業エリアである銀座という街の、さらにいえば東京という都市の価値や磁力を高める必要がある」と辻は言う。

「GINZA SIX」に続き、ビジネス街である虎ノ門エリアでも、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」を目指した都市再生事業を進める。辻の思いは一貫している。「森ビルらしい都市づくりで、東京の、そして、日本の底力を世界に見せつけたい」と。


辻 慎吾(つじ・しんご)◎1960年、広島県生まれ。85年、横浜国立大学大学院工学研究科修了後、森ビルに入社。東京都心の大規模再開発事業を主に担当し、「タウンマネジメント」の手法を生み出した。2006年に取締役、11年から現職。

山川 徹 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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