テクノロジー

2017.05.05 15:00

5G導入で先行、中国ファーウェイの「次世代ネット」構想

Shaynepplstockphoto

現在、市場に出回るVRデバイスの多くは仮想現実空間へ完全に没入できると宣伝しているが、実際の映像にはタイムラグが生じ、快適に使用できるのはわずか20分程度なのが現実だ。

アップルのSiriやグーグルアシスタント等のAI製品、さらには自動運転車も同じ問題を抱えている。先端テクノロジーが抱える技術的困難の最大の原因となっているのがネットの接続スピードの遅さだ。

ファーウェイ(華為技術)でワイヤレスマーケティング部門長を務めるQiu Hengはこう述べる。「VRで完全な没入感を得るためには数百ギガバイトのデータが必要だ。しかし、現状の4Gネットワークでこの容量の実現は不可能だ。自動運転の分野でも最大の課題となっているのが、データの転送速度の問題だ」

単純に言えば、現状のwifiはスピードが遅すぎる。これを解決するのが5Gネットワークの普及なのだ。

Qiuによると5Gの導入により自動運転車のデータの取得スピードの遅延は現状の5ミリ秒から1ミリ秒にまで縮まる。これによりデータ遅延による事故発生確率を大幅に低下できる。VR分野においても画質を大幅に向上させ、完全な没入感の実現が可能になる。

今春、バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)では、5Gをテーマに4時間に及ぶセッションが設けられた。そこではファーウェイやノキア、エリクソンやAT&Tの担当者らが、5G接続が実現するテクノロジーの未来について語った。

5Gは3時間に及ぶ長編映画を10秒でダウンロードできるだけでなく、街中の工場を一箇所からコントロール可能にし、スマートシティの実現を可能にする。道路上のセンサーが常に渋滞情報や事故情報を把握し、渋滞を極限まで抑える交通管理システムの実現をもたらす。

「5Gネットワークの登場でIoT分野も劇的な進化を遂げる。全てのモノがインターネットに接続される未来がついに実現する。我々の試算では290億個のデバイスが2021年までにネットに接続されるが、その基盤となるのが5Gなのだ」とファーウェイのQiuは述べる。

世界170カ国以上で通信インフラを手がけるファーウェイは2009年から5Gの研究開発に取り組んできた。同社は4月28日、香港で5Gの導入準備を開始するとアナウンスした。5G部門代表のYang Chaobinは2019年までに各国の大都市で5Gのパイロットプログラムを始動すると述べた。

「5Gネットワークの導入にあたっては各都市に100以上の基地局が必要だ」とYangは述べ、ワイヤレスネットワークの構築に必要な送受信設備について語った。「数千カ所の基地局の構築が最初に進むのはどの国かと聞かれたら、それは中国だ」とYangは述べた。

編集=上田裕資

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