国の「悲惨さ」測る指標、日本が最下位の理由

(Photo by DAVID MAREUIL/Anadolu Agency/Getty Images)

人間の置かれる状況は、両極端な「不幸(悲惨)」か「幸福(恵まれている)」かのどちらかだ。そして、国の「悲惨」な状況を改善させる最も確実な方法は、経済を成長させることだ。

多くの国は定期的に、経済指標を発表する。各国のその数値を比較すれば、世界中のどの国で市民が困窮しているのか、あるいは恵まれた状況にあるのかに関するさまざまなことが分かる。

「悲惨指数(Misery Index、ミザリー・インデックス)」は1960年代、当時のリンドン・ジョンソン米大統領に世界の経済情勢について分かりやすく説明するため、経済学者のアーサー・オークンが考案したものだ。当初は各国の消費者物価指数(CPI)の上昇率と失業率を加算した簡単な指数だったが、その後にハーバード大学のロバート・バロー教授(経済学)が改訂。筆者(ジョンズ・ホプキンス大学・応用経済学部教授)もさらに、修正を加えている。

現在の同指数は、CPIと失業率のほか金利を足し、そこから1人当たり実質GDPの変動率を差し引いた数値を示すものとなっている。つまり、この指数は高いほど、国民の生活は苦しく、「悲惨だ」ということになる。

また、結果の一貫性と比較可能性の維持の観点から、データは毎回全て、英誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットから提供を受けている。

以下、筆者が今年初めに発表した悲惨指数ランキングで「上位」に入った最も悲惨な10か国を紹介する。

1. ベネズエラ
2. アルゼンチン
3. ブラジル
4. ナイジェリア
5. 南アフリカ
6. エジプト
7. ウクライナ
8. アゼルバイジャン
9. トルコ
10. イラン

日本は「最下位」

一方、「ワースト1位」となった国、つまり幸福度が最も高いはずの国は日本だった。ただし、日本が相対的に幸福だと考えられるのは、1人当たりGDPの成長率のおかげではない(わずか0.7%しか伸びていない)。インフレ率が前年比マイナス3.5%だったことが、最終的に指数を低く抑えたということだ。

2番目にスコアが低かったのは中国。同国はほぼ完全に、1人当たりGDPの大幅な成長(6.3%の伸び)のおかげで、この結果を得ている。

米国のランクは、全体の39位だった。オバマ政権の最後の一年、米国はベトナム、スロバキア、チェコに次ぐスコアとなった。ドナルド・トランプ大統領にとっては幸いなことに、今後ランクを引き上げる余地が多いに残されているということだ。

編集=木内涼子

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