バターフィールドは、カリフォルニア州ハーフムーンベイで開催されたフォーブスの「CIOサミット」に登壇し、「仮想アシスタント化は、Slackの究極の目標だ。それはロボットが人間の仕事を奪うといった大げさなものではなく、自動化が可能な業務はたくさんある」とフォーブスのMiguel Helftとの対談で述べた。
Slackは最近、スレッド機能を新たにリリースしたが、バターフィールドが目指すのはもっと野心的なサービスだ。その一例となるのが、メッセージの中から重要度の高いものを自動識別する「プライオリティ・インボックス」の進化版だ。他にも、チャットの内容を分析し、特定の分野で専門知識を有する社員をフィルタリングする機能の実装も目指している。「あと2か月ほどでバージョン0.1が完成する。まずは、6種類ほどの提案ができるようにする」と彼は話す。
バターフィールドは、カスタマーサービスなど、外部とのコミュニケーション手段はメールが主流であり続けると考えており、Slackは企業内部向けコミュニケーション機能に専念する方針だという。
Slackが仮想アシスタント化を目指す上で気を付けなければならないのは、Slackと連携する外部サービスの脅威とならないことだ。現在、SlackはAtlassian、Salesforce、NetSuite、Workday、Zendesk、OfficeSpace Softwareなど、80社以上のベンダーと連携している。これらのベンダーの中には、タスク管理アプリの「Sortd」のように独自のフィルタやコマンドを追加して人気を得ているものも多い。Slackの進化が、サードパーティのデベロッパーに与える影響はまだ不明だ。
フェイスブックやマイクロソフトがSlackと競合するサービスをリリースしたことについて、バターフィールドは「むしろ好意的に受け止めている」と述べ、全く意に介さない様子だ。彼は、フェイスブックをライバル視していない。マイクロソフトが昨年11月にリリースした「Team」については、「幅広いプロダクトを連携させるのに苦労するだろう。我々には、数年分のリードがある」と述べた。
「偶然の産物」だったSlack
これまでの成功において運がどの程度作用したかと聞かれると、バターフィールドは「とてつもなく大きい」と述べた。彼は、投資家向けに作成した事業計画で、ユーザー数を実際よりもはるかに小さく見積もっていたという。
「Slackは、偶然の産物だ。我々は、もともとゲーム開発を手掛けており、Slackはそのための社内コミュニケーションツールだった。お陰で、3年半に渡り外部に知られずに開発することができた」
Slackは「Enterprise Grid」を今年1月にリリースした。バターフィールドによると、課金ユーザーの40%と、デイリーユーザーの約半分をアメリカ国外のユーザーが占めているという。