ただ、どの仕事が女性の求めるフレキシビリティを提供するのかといえば、それを明らかにするのは決して簡単なことではない。
面接の際に、働き方にどれだけの柔軟性が認められるのかを尋ねるのはタブーだといえる。それでは、具体的に各企業のフレキシビリティについて知るためには、どうすればいいのだろうか。これに関して公開されている「公式な情報」は非常に少ない。
そのためフェアリーゴッドボスは先ごろ、インターネットを通じて独自に集めた関連情報をまとめた「ワーク・ライフ・バランス・ガイド」を発表した。在宅勤務やパートタイムでの就労を認めているかなどを基準に、企業のランク付けを行ったものだ。
非公開の企業が大半
調査チームは米フォーチュン誌が発表するグローバル企業の総収入ランキングの上位100社、「フォーチュン100」リストに入る各社の求人情報を全て分析した。だが、フレキシビリティに関する各社の公式な方針についての記述は見当たらなかった。
フィリス・モーエン教授(社会学)はこれについて、働き方に関しては子どもが逐一自分の行動に母親の許可を求める「お母さん、~をしてもいい?」のアプローチが浸透していることが理由ではないかと指摘している。
どの程度の柔軟性が認められるかは担当する仕事の内容次第であるため、部署や管理職が方針を決めることになっているというのだ。これは合理的である上に、簡単なやり方だといえる。
ただ、このアプローチには問題点がある。モーエンによれば、実際にはそのやり方で働き方の柔軟性を求める人は、恐らく多くはないからだ。つまり、フレキシブルな働き方は認められていないということが「デフォルト(規定値)」であるのに対し、柔軟性を求める人や必要とする人は、自分が「例外」だと感じてしまうということだ。
職場の裁量に任せるアプローチには透明性がなく、さらに「例外」を求める人や柔軟な働き方について詳しく知りたい人には、居心地の悪い思いをさせることになる。