ピーター・ティールも認めた22歳「自動運転」起業家の野望

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現在、LiDARの価格は数千ドルするが、競合他社は数年で数百ドルまでコストを削減すると公言している。しかし、ラッセルは安全基準をクリアする前にコストダウン競争が激化するのは望ましくないと指摘する。

「技術の向上を上回るスピードでLiDARのコモディティ化が進んでいる。現在のLiDARは、せいぜいルンバ用に搭載できるレベルで、自動運転車には到底使えない」と彼は警鐘を鳴らす。

ラッセルによると、Luminarは既に4社に対してプロトタイプを供給しており、自動運転車メーカーの80%と交渉中だという。「今年1万台の生産量をクリアできれば、全てのメーカーに供給することができる」と彼は言う。

ラッセルに現在のLiDARの製造コストと今後の目標販売価格について質問をしたが、回答を得ることはできなかった。

ピーター・ティールから10万ドルを獲得

Luminarは、これまでにCanvas Ventures、GVA Capital、1517 Fundなどから総額3600万ドルを調達している。ラッセルは、スタンフォード大学で応用物理学を専攻していた2013年に、ペイパル創業者のピーター・ティールから10万ドルの奨学金を得たため、1年目を終えた段階で休学してLuminarの事業に専念することにしたという。

Luminarは、生産能力の増強を図るために新たな資金調達を計画している。「数十億ドル規模とまではいかないが、大きな金額になる予定だ」とラッセルは言う。身長195cmで細身のラッセルは、これまで資本効率の高い経営を行ってきたことを自負する。
Luminarが広大な工場を構えるオーランドは、NASAをはじめ、航空宇宙や防衛関連の企業が多く、優秀な人材を確保するのに最適な場所だという。

「シリコンバレーでは、多くの企業が同じ人材の獲得で争っているが、オーランドでは素晴らしい人材を多く獲得することができる」とラッセルは言う。

Luminar の共同創業者で、CTOを務めるEichenholzもその一人だ。ラッセルは、豊富な業界経験と人脈を持つEichenholzを、光技術業界の「ケビン・ベーコン」(あらゆるジャンルの映画に出演し、幅広い役柄を演じるハリウッド俳優)と評す。

3月に22歳になったばかりのラッセルは、Luminarの事業について長期的なビジョンを抱いている。
「我々は、短期間で事業を急成長させて売却することなど全く考えてない。私のゴールは、Luminarを高利益体質で長期的に発展する会社に育てることだ」と彼は話す。

編集=上田裕資

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