犬やネズミも笑う? 科学者が明かす「笑い」と脳の関係

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何が面白くて何が面白くないのかを脳が判断する際、どのようなメカニズムが働いているのか? 質問サイトQuoraに投稿されたこの質問に、神経心理学者のファビアン・ヴァン・デン・バーグ(Fabian van den Berg)が答えた。

笑うという行為がなぜ起きるのか、立ち止まって考えてみたことのある人は少ないだろう。ユーモアとは何なのだろうか。実は人間だけではなく動物も何かを面白く感じて笑うことが分かっている(実際に面白かったのか、動物に聞く方法は無いが)。

人間に近い類人猿だけでなく、犬やネズミも笑うことが分かっている。笑いは脳の発達の度合いよりも、生物の基本的な部分に関係しているようだ。犬やネズミは笑うことによって“遊んでいる”ことを伝達し、笑いを通じ社会的情報をやりとりしている。

動物の進化の観点から見ると、笑いはそこに危険が無いことを示す。さらに、そこには社会的な要素も関連する(周りに人がいる時の方が笑うことが多いだろう)。人間はユーモアを操るという点で他の生物と比べて特殊だ。犬やサル、ネズミはジョークを言えない。笑うことは人間特有の行動ではなくても、ジョークやユーモアは人間に特有のものだ。

人間の脳を調べてみると、ユーモアや笑いは期待や意外性に関係しているようだ。予想外のことが起きて笑ってしまうことは多い。脳が面白さを検知するとドーパミンが放出され、紡錘形神経細胞によって楽しい感情が体全体に広がっていく。

ジョークのタイプに応じ脳の活性化する部分も変わる(例えばダジャレは言語中枢を刺激する)。だが、ジョークのタイプに関わらず、人間の脳はユーモアに反応する。これには体を使ったユーモアも含まれる。

笑いは脳が面白いと“判断”した結果というよりもむしろ、期待が裏切られた場合に誘発される。そのメカニズムの全貌は明かされていないが、笑いがコミュニケーション手段の一部であることは確かだ。深刻な事態は起きていない、心配せずに一緒に楽しもうというメッセージを笑いは伝える。

編集=上田裕資

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