節目である今年は、フォーブスが報道を始めた1世紀前からビジネスと産業における成功の秘訣(ひけつ)がどのように変化したか、そしていかに多くが変わらずにいるかを振り返る良い機会だ。フォーブスが伝えるのは「成功」──人々がどのように成功を収め、その成功をもって何をしているか、という点だ。
また私たちは、デジタル変革を遂げてから、若い読者層を獲得してきたことも誇りに思っている。進化の要となったのが、6年前に立ち上げた「アンダー30」グローバルフランチャイズの大きな成功だ。この企画では業界を破壊し、私たちの住む今後50年の世界を変えつつある30歳未満の変革者たちを特集している。
まずは創刊初期を振り返ろう。フォーブスが初めて掲載した米国の長者番付に関する記事は、創刊からわずか1年後の1918年にさかのぼる。記事の署名はフォーブス創刊者のB・C・フォーブス、見出しは「米国で最も裕福な30人 保有資産は総額36億8千万ドル」で、番付には今も歴史に名を残す人物が多く名を連ねた。
トップのジョン・D・ロックフェラーの当時の資産は12億ドル(現在の価値で約220億ドル/約2兆4000億円)だった。2位以降にはヘンリー・クレイ・フリック、アンドリュー・カーネギー、ウィリアム・バンダービルト、ビンセント・アスター、ヘンリー・フォード、J・P・モルガンといった著名人が多く続く。
フォーブス初の長者番付に入った資産家たちは、どのようにして巨万の富を築いたのだろうか? 20世紀初頭、電力の普及や移動・通信・物資輸送の効率化などさまざまな要因が相まって、時代は産業革命から生産性の爆発的向上へと移行。強い意志と先見の明、そして時に無情さも併せ持った男たちが、こうした変革を可能にするシステムの構築方法や、既存システムの支配方法を見いだしていった。
また、新たに登場した高速印刷機で発行された大量流通型の新聞や雑誌の成功により、巨大な消費者市場が形成された。こうした発行物は、刺激的な新商品や最新ファッションの広告を掲載。宣伝された品は、この時代のもう一つのサクセスストーリーである初期の百貨店で販売された。
米国の産業規模はこれ以降、数十年かけて成長を続けた。特に第2次世界大戦中は大きく発展し、1960年代から70年代にかけて巨大工場を抱える国として台頭した。しかし製造業の中心は北東部・中西部から低賃金で労働組合のない南部へと移り、それから80年代になると、さらに安価な労働力を求めメキシコや中国などへ移っていった。