泥沼化するウーバー「自動運転パクリ」訴訟 5月に法廷審問へ

ウーバーの自動運転車 (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

自動運転技術関連の企業秘密盗用を巡るアルファベット傘下のWaymoとウーバーの法廷闘争は、泥沼化の様相を呈している。Waymoは裁判所に対し元グーグルのエンジニアで、現在はウーバー幹部のアンソニー・レバンドウスキー(Anthony Levandowski)を「自動運転車開発プロジェクトから外すこと」を要求した。

ウーバーは、これまでサンフランシスコ地方裁判所の判事に対して、グーグルの知的財産権を侵害していないと述べていた。しかし、Waymoは4月21日、裁判所に新たな書類を提出し、ウーバーがレバンドウスキー設計による新たなLiDARシステムの開発を進めている事実を隠していたと主張した。

Waymoが最初にウーバーによる企業機密盗用に気づいたのは、サプライヤーから送られてきたメールがきっかけだった。メールに記されていたウーバーのLiDARシステムが、グーグルの設計と瓜二つだったのだ。グーグルは調査の結果、レバンドウスキーがグーグルを退社する直前の2015年暮れに、1万4000ページに渡る機密データを個人のストレージ機器にダウンロードしていたと結論付けた。レバンドウスキーは、2016年初めに自動運転トラック企業のOttoを設立し、昨年ウーバーに6億8000万ドル(約750億円)で売却している。

「ウーバーは企業秘密の盗用を否定しているが、同社のエンジニアたちもウーバーがWaymoの知的財産を用いて自動運転車向けのLiDARデバイスを開発したと証言している」とWaymoの弁護団は述べている。裁判所に提出された書類では、レバンドウスキーが開発に携わった新たなLiDARシステムのコードネームは黒塗りされており、確認することはできなかった。

Waymoは、3月に裁判所に対してウーバーの自動運転車開発プロジェクトを当面停止することを要請していた。今回、新たなLiDARシステムの開発が明らかになったことを受け、Waymoは4月21日にレバンドウスキーをウーバーの自動運転車開発プロジェクトから外すことを追加要求した。

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ウーバーはこれに対し、新たなLiDARシステムの隠蔽を否定し、このLiDARはコンセプトに過ぎず、一度も製造することなく破棄したと述べた。また、開発済みのLiDAR「Fuji」についても、グーグルの知的財産権を侵害していないことを改めて主張した。

ウーバーは、5月3日の法廷審問に先立ち、4月28日に社内調査の結果を報告する予定だ。レバンドウスキーは昨年のフォーブスとのインタビューで、「グーグルの知的財産を一切盗んでいない」と述べている。
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編集=上田裕資

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