ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が匿名筋の情報として伝えたところによると、グーグルはグーグルクロームのウェブ版とモバイル版の双方に、広告ブロック機能を装備する計画だという。
ただし、ターゲットとする広告は限定されている。ポップアップ広告やランディングページを予め読み込むプリロード形式のもの、さらに音声を自動再生しユーザーを不快にさせる広告をグーグルは排除するという。
スマートフォンとタブレットだけで、クロームの利用者は10億人を超えており、調査会社の資料ではブラウザ市場でクロームのシェアは53%に達するという。ブロックする広告が一部に限定されるとしても、グーグルは莫大な広告収入を失うことになる。
まるで自身の首を絞めるような行いにも見えるがこれは実際、賢い選択なのかもしれない。下記にその理由を示してみたい。
クローム利用者の中でエクステンション(ブラウザの機能を拡張するアプリ)を探しにクロームウェブストアを訪れる人は、それほど多くはないのが現実だ。しかし、エクステンションの利用者たちに最も人気なのが広告ブロッカーだ。最大の利用者を誇る「AdBlock」は約4000万人が使っている。さらに、「AdBlock Plus」も1000万人以上が使用中だ。
比較的新しい「uBlock Origin」も最近になり800万人のユーザー数を獲得しており、他にも様々な広告ブロッカーが存在する。
グーグルはこれまでは他社が運営する広告ブロックの存在を気にかけてこなかったが、自社製の広告ブロックをクロームに組み込むことでこの分野を完全に同社の支配下に置こうとしている。
グーグル製の広告ブロックは瞬時に数十億のブラウザに導入され、そのことでグーグルはさらに広告主たちへの影響力を高めるのだ。グーグルの狙いはユーザーに快適なブラウジング環境を提供することであり、それによりグーグルはさらなる利益を上げることができる。
グーグルはまた、ユーザーらが広告を不快なものと感じ、それをブロックする行為をやめさせたいと願っている。不快な広告を取り除き、広告主らをまともな広告手法に向かわせようとしている。これは結局のところ、ネットユーザーにとっても喜ばしい結果を招くことになる。