それらの動画の種類を大ざっぱに二分すると、文字や図などがスライドのように流れるものと、人が説明するものとになる。
もし、あなたに説明役がまわってきたら、信頼感のある映像にするのにどうしたら良いだろうか。そのカギは、「絵」と「音」に分けて考えることにある。以下に具体的なポイントを紹介しよう。
フリップを有効活用
まず、座って撮影する場合は「机を前にして」話すと落ち着いて見える。ニュース番組で見慣れた構図だからだ。カメラと自分をさえぎるものがあると緊張も緩和される。女性は、レンズに対して片方の肩を引いて角度をつけると、ボディのシルエットが女性らしく見えるのでぜひ実践していただきたい。
腕を垂らしたままの上半身は間がぬけて見えがちなので、立ったままバストアップの撮影するときには注意が必要だ。報道番組を見ると、現地リポーターはたいてい胸の前にマイクを持って中継していることに気づくだろう。その一工夫で絵になるのだ。マイクを使わない場合は、要点をフリップ(大型のカード)に書いて胸の前に掲げるというのも一つの手だ。
実は、フリップを手に持つ効果は他にもある。動画を見る画面も四角いため、その枠内で四角いものを持っていると、人物がきちっと“おさまった感”が出る。男性アナウンサーが胸ポケットにチーフを入れる際、四角に顔を出す折り方、その名も「TVフォールド」にしているのもそれが理由だ。また、フリップを持っていれば手が無駄な動きをすることもなくなり、視聴者が話の内容に集中できるというメリットもある。
言葉遣いは普段通りに
「音」すなわち「声」で注意すべきは、なによりも、いつもより元気にしゃべることだ。「知らせたい!」という情熱がなければ重要な内容に聞こえてこない。カメラを固定して撮る場合は、カメラの後ろの人に向かって話すつもりだと丁度良いだろう。
言葉づかいは丁寧にしすぎないほうが親近感を持たれる。話す側としても、普段使っている言葉なら表情も柔らかくなるというものだ。難解な言葉を使うときは、正確に伝えるために「敢えて原稿を見ながら読む」という演出もプロっぽい。
ポップ・アートの旗手アンディ・ウォーホールはかつて、「誰もが15分間なら有名人になれる。いずれそんな時代が来るだろう(In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.)」と言った。
彼の死去から30年。まさに、誰でも自ら発信できる時代になった。15分間も注目を浴びる(つまり、飽きられない)のは至難の業だが、SNSでよく見かける1分程度の短い動画なら挑戦できるのではないだろうか。