ビジネス

2017.04.28

日本市場を駆け上がる、フットウェア界の新星「KEEN」の戦略

ロブ・ラングスタッフ氏 KEEN(キーン)インターナショナルヴァイスプレジデント


そうした各地でのきめ細やかな市場把握が可能なのは、ほかでもない社内コミュニケーションの賜物であると言う。「私の信条として、常に敬意をもって現地のスタッフの意見をどんどん聞き、取り入れます。何よりも重要なのは、その人物に対する理解です。趣味嗜好、背景や経歴を知り、相手をよく理解したうえで、ようやく提案の真意をも理解することができるのです」
 
社内においても、このように相手を慮る氏の姿勢は、同ブランドの重要な3つのキーワード、「CREATE, PLAY, CARE」(創造すること、楽しむこと、気遣うこと)にも重なると語るラングスタッフ氏。創業デザイナーの足の怪我をきっかけに、人々を守り、快適に生活を送るためのフットウェアを生み出してきたキーンの文化は、世界的に知られる存在となった現在に至っても、製品や行動を通し、一貫して発信し続けられている。

「この素晴らしい世界で、人々が外へどんどん出て行くことを後押ししたい」と話すラングスタッフ氏。さらに熊本の大震災やカナダ・フォートマクマレーの山林火災に対する支援、野生動物の保護にも積極的に取り組んでいるのは、創業者の「givingback」(お返し)の精神を今日まで引き継いでいるからだという。

「こうした取り組みは、3つのキーワードの内のひとつ、CAREにあたります。身近な人から周りに広がる世界までを気遣うという意味です。CREATEは、製品やアイデアで解決策を創り出すこと。PLAYは、屋根のない場所すべてを楽しむことができる製品をデザインすることです」
 
キーンは単なるフットウェアブランドの枠を越え、これからもアウトドアとともに健やかに、楽しんで生きる我々の、「ハイブリッド・ライフ」のよきパートナーであり続けるに違いない。


ロブ・ラングスタッフ◎米空軍キャプテンを務めたのちMBAを取得。独アディダス本社ヴァイスプレジデント、アディダスジャパン社ヴァイスプレジデントを務めたのちキーンに参画。国際展開を推し進める。

文=稲生 遼、構成=大野重和、写真=筒井義昭

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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