ビジネス

2017.04.28 15:00

日本市場を駆け上がる、フットウェア界の新星「KEEN」の戦略

ロブ・ラングスタッフ氏 KEEN(キーン)インターナショナルヴァイスプレジデント

2003年、爪先を守るトゥ・プロテクション機能を備えた水陸両用サンダルでデビューした、米国ポートランドに本拠を構えるアウトドア・フットウェア・ブランド「KEEN(キーン)」。創業者がヨットで足を怪我した経験から、「サンダルはつま先を守ることはできないのか」という疑問を基に誕生した、「コロンブスの卵」的な発明であった。

創業者であるローリー・ファースト氏が思い描いたのは、サンダルとシューズ、陸と水、快適さと性能、ファッションと機能といった異なる概念を融合させるハイブリッド・フットウェアのコンセプト。これまでの常識を次々と覆すデザインと商品ラインナップで、瞬く間に世界中のアウトドア愛好家たちからの支持を得てきた。
 
2016年、同社のさらなる飛躍への起爆剤となるべく、海外展開を統括するインターナショナルヴァイスプレジデントとして着任したのがロブ・ラングスタッフ氏である。氏は1990年代、アディダスの日本支社を立ち上げるために、家族を連れて来日した経歴を持つ。日本、そしてアジアのスポーツマーケットを熟知するエキスパートは、今度はここキーンで、どのようなビジネス展開を指揮するのだろうか。
 
スポーツとアウトドアのフィールドで、人々の生活と、その舞台となる地球の間に介在するフットウェアの分野に挑むラングスタッフ氏に、話を伺った。

CREATE, PLAY, CAREの哲学

「私の就任と時を同じくして、新シリーズ『ユニーク』が発表されました。その名の通り、靴の既成概念を超越した、紐を編み上げて成形される見た目の斬新さ、かつてない軽さ、通気性、そして快適な履き心地で、キーンの存在を広く日本に知らしめる立役者となりました」
 
そう語るラングスタッフ氏は、日本をアジアの牽引役としてとらえているという。「日本の消費者は、デザインを見る目、スタイリングの感覚において非常に洗練されています。新しいアイデアや商品に対する日本での評価や動向は、中国をはじめとする他のアジア市場での展開を考える際の基準となり、大きな意味を持ちます」
 
4年連続で過去最高の外国人観光客数を更新した日本。グローバルに展開を広げ、ブランドを成長させるうえでは、訪日外国人観光客の反応も軽視できない参考材料になるという。「我々は、大は小を兼ねるといった戦略は取りません。市場の特性や動向に合わせた、いわゆる『Think Global, Act Local』のマーケティングで製品をお届けします」
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文=稲生 遼、構成=大野重和、写真=筒井義昭

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