だが、その同社も電子商取引部門では、有能な人材を引きつけ、確保するために非常に高額の給料を支払っている。米キャリア情報サイトのグラスドアが先ごろ発表した調査結果によれば、ソフトウェア開発エンジニアの給料は、高ければ(具体的な職務内容によって異なる)年間平均15万1666ドル(約1651万円)に上る。
これにより、ウォルマートは最新の「米国で最も年収の高い企業」ランキングでオンライン・ビジネスの競合、アマゾンとそう大く差の付かない順位につけた。アマゾンのソフトウェア開発エンジニアの年収は、高いポジションで13万1885ドル(約1436万円)だ。
ウォルマートの実店舗のビジネスモデルはここ数年、苦戦する状況が続いている。電子商取引において存在感を高めることを、最優先課題に掲げてきたのはそのためだ。
ウォルマートは2013年、電子商取引の技術開発部門として@ウォルマートラボ(@WalmartLabs)を設立。複数のスタートアップ企業を買収した。クラウドベースのウェブサイト高速化サービスを提供するトービット(Torbit)、予測インテリジェンスプラットフォームのインキル(Inkiru)、クラウドベースのオートメーション技術を提供するワンオプス(OneOps)、アプリケーション開発のテイスティラボ(Tasty Labs)、さらに商品検索サービスのアドケミー(Adchemy)などだ。
さらに、2016年8月には米国市場で急成長を遂げているジェット・ドットコム(Jet.com)を買収。オンライン事業のさらなる拡大を図った。そのほかにも、配車サービスのウーバーやリフトと提携し、生鮮食品などの宅配事業を推進している。
こうしたオンライン事業に関するウォルマートの戦略が、狙った結果を生むことに成功している兆候も見え始めた。同社のオンライン売上高はこのところ急速に増加しており、アマゾンとの競争はさらに激化している。
つまり、ウォルマートは自社が効果的に他社と競い合うことを支援する技能を持った人材なら、最低賃金の何倍もの給料でも支払う用意があるということだ。そして、オンライン事業でのアマゾンとの戦いが一層激化する中で、この傾向は今後も続くと考えられる。