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2017.04.18

イケア、レストラン事業に本格進出か 関係者が米誌に可能性語る

Photo by Stephen Chernin / gettyimages

スウェーデンの家具大手イケアはずっと以前から、店内で一休みしたくなった来店客のために、ゆっくりくつろげるカフェを併設してきた。新たな収益源となる事業を模索してきた同社は、そのカフェが提供するミートボールやスモークサーモンなどに、新たなチャンスの可能性を見出しているようだ。

米ファスト・カンパニー(Fast Company)誌が4月17日にイケア関係者の話として伝えたところによると、同社はカフェが提供してきたメニューはそれ自体で十分に魅力的であり、「イケア・レストラン」をチェーン展開する可能性も検討の価値があると見ている。

ソファを売る「ミートボール」

イケアが店内にカフェを併設するようになったのは、1958年。スウェーデンに第一号店をオープンした翌年のことだ。創業者イングバル・カンプラードが、来店客の空腹を満たすことが、店舗の売り上げに貢献するかもしれないと考えたことがきっかけだ。

イケア米国法人の食品事業部門の責任者はファスト・カンパニー誌に対し、イケア社内では以前から、「ソファを最も数多く売ってくれるのはミートボールだと話している」と語った。

「ミートボールを提供することで、来店客が店内にとどまる時間が長くなり、その間に購入を検討中の商品について話し合うことができる。店内にいるうちに、購入するかどうか決断を下すことができるのだ」

イケアの食品事業部門の売上高は2016年、約16億ドル(約1740億円)に上っている。同年のイケア全体の売上高は、365億ドル。大きな割合を占めるとまではいえないが、そのまま何もせずにいていいとも言い難い金額だ。

数年前から改善努力

イケアを訪れる客の30%は、食事をするためだけに来店しているという。イケアの会員カードを持っていればコーヒーが無料であるほか、簡単な食事の提供を受けられる場合もある。キャンペーンなども実施しており、幅広い層が利用している。

イケアはここ数年、廃棄食品量の削減やメニューの改善などに尽力してきた。ファスト・カンパニー誌によれば、イケアのカフェのメニューは以前、英語を母語とする買い物客には読みづらく、客を混乱させることも多かった。だが、現在は名称を変更するなどしており、スカンジナビアの言語のメニューは半数程度になっているという。また、カテゴリー別に配置している商品の各ゾーンに、それぞれに合わせたカフェを設置するなどの変更も実施している。

これらの変更に着手した2015年以降、食品事業の売上高は毎年約8%増加。世界48か国・地域の店舗に設置しているカフェの利用客は、年間およそ6億5000万人に上っている。

また、イケアはロンドンやパリ、ノルウェーの首都オスロ郊外にポップアップの店舗をオープンするなどの試みも行っている。現在のところ具体的な計画は明らかにされていないが、今後は本格的に、飲食店事業を展開する準備ができているということかもしれない。

編集 = 木内涼子

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