だが、テスラの株価は同社の規模、生産能力、直面する競争から考えれば、恐ろしく高く評価されている。同社の事業に関する現実的な見通しと投資家全般の見通しには、大きな隔たりがある。
テスラは危険なほど過大評価されている。筆者がそう考える理由になるのは、以下の5つの点だ。
・利益
テスラは昨年、7億7300万ドル(約837億4860万円)の損失を計上した。
現時点で同社は、十分な現金を保有していない。資金を調達できなかったということではないが、GMやフォード、フィアット、その他の利益を計上し、十分な現金を持っている自動車メーカーとの戦いは今後もまだ続くということだ。
・生産台数
自動車を買うとき、人はそれほど先のことを考えて購入するわけではない。ガソリン価格が低水準になれば、販売台数は増加する。
米国市場では、ピックアップトラックとSUVが合わせて販売台数の3分の1以上を占めている。電気自動車(EV)とハイブリッドカーを合わせた昨年の売上高は堅調な伸び率を維持しているものの、販売台数はピックアップトラックとSUVを大きく下回る。
つまり、北米のドライバーたちが大型車両を好む傾向をEVが抑え込み、"EV革命"が起きるまでにはまだしばらく時間がかかるかもしれないということだ。
・価格
シボレーの新型EV「ボルト」の希望小売価格は、およそ3万8000ドル。テスラ「モデル3」の価格は3万5000ドル程度とされている。いずれも連邦税控除の対象となっており、7500ドルが値引きされる。それにより、どちらのEVも中価格帯のセダンと同水準の価格にはなる。
だが、中国のメーカーは積極的に、より安価なEVの生産拡大を進めており、価格は1万2000~2万3000ドルになる見通しだ。プライス・ポイントが低下すれば、テスラもGMも競争では不利になる。