入居するのはオフィス棟内の23〜27階5フロア。デザイン・設計に携わったのは、「ウルトラテクノロジスト集団」と呼ばれるチームラボだ。
移転間もない3月某日、同社の野本巧チーフクリエイティブオフィサーにオフィスを案内いただいた。まずは、24階にある総合受付から会議室エリア、オープンスペースまで、話題のオフィスの内側を紹介する。
アートとグリーンで待つ人を退屈させないエントランス
野本巧(以下、野本):通常のオフィスだと、会社の看板を飾る壁が必要なんですが、その壁を作りたくなかったんです。せっかく窓があるので、外光を取り入れつつ何かしら演出できないかと考え、看板は外に設置しました。
ガラスに映る映像は、プロジェクターで投影しているのではなくてディスプレイです。液晶TVに使われている液晶フィルムを使っているので、エントランス側からは見えますが、反対側からは見えません。また、天井にあるセンサーで人物とディスプレイとの距離を感知しているので、人が近づくと避けるように映ります。
新しいオフィスは、森の中をイメージしていて、ここにある植物は全て自生しています。全部で256種類あり、弊社のパンフレットには会社のことは一切書いておらず、植物の解説が載っています(笑)。
エントランスをこのようなスタイルにしたのは2つの理由があって、1つは外光を取り入れたかったから。もう1つは、椅子を置かないスタンディング形式のウェイティングスペースにすることで、来客が多い時間帯でもスムーズにご案内ができるようにしたかったからです。
それでも立ったままで2〜3分お待たせしてしまう場合もあるので、その間リラックスしていただけるようグリーンを置き、退屈しないようにデジタルアートを設置しました。
個室ゾーンは遊び心いっぱいのジャングル
野本:受付に向かって右手側が会議室エリア。そして入ってすぐの部屋が「Anteater(アリクイ)」で、隣が「Bear(クマ)」。左側から時計回りで、それぞれ違う動物の名前がついています。ドアノブを全部取り払って、壁をフラットにしているので、どこに部屋があるかわからない状態にしているんです。
谷本(WEB編集長 谷本有香):わ、すごい!アミューズメントパークみたいですね!
野本:いえ、オフィスです(笑)。予約してある会議室に到着すると、動物の名前が表示され、身体についてる花が散ります。そして白く光ったところを押すと、ドアが開く仕組みになっています。
谷本:個室はいくつあるんですか?
野本:26個です。設計士がこの空間で通路と部屋を区切ったら26部屋になって、たまたまアルファベットの数と同じだったんです。
でも、「X(エックス)」ではじまる哺乳類は1種類もいなくて(笑)。ほとんどが昆虫と小鳥だったので、その中では大きいアフリカツメガエル(Xenopus laevis)になりました。カエルもちょっとご案内には向かないかなと思って、消防法でどうしても個室を作れないエリアがあったので、そこにスタンディングのテーブルを入れて「X」にしようということになりました。最終的には、25の個室と1スタンディングエリアですね。