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優れたマネジメント能力で、日本代表を4度目のワールドカップへと導いたイタリア出身の知将。選手たちをどう叱咤激励し、一つのチームとしてまとめたのか――。自ら、その秘密を明かした。

父親の背中を見て学んだこと

 ザッケローニは、自身の観察眼について「家業の手伝いが大きく影響した」と語る。彼は、ホテル経営に携わる父親の手伝いをすることが多かったという。
「ホテル業をやっていると、お得意先やお客さんの特徴を把握しなければいけない。特徴を捉えたうえで、『どういったサービスを、どのタイミングで提供するのか?どう声をかけたらいいのか?』を考えるのだ。それはサッカーの監督も同じで、チームを率いたときは、まず自分の手元にいる選手のことをよく理解すること。結局、監督も要求するばかりではなく、選手に歩み寄っていくことが大切。それには、ホテルの手伝いや監督業を始める前の社会人経験がすごく役に立った」

 事実、ザッケローニはプロサッカーの監督としては異色の経歴を歩んでいる。彼には、プロ選手の経験がない。(中略)10代でプロの道をあきらめた後は、社会人として保険代理店でのセールスの仕事に従事している。その後、29歳から本業の傍ら少年たちを指導したのが監督業のスタートであり、そこから、当時、世界最高峰と呼ばれていたイタリアのセリエAで屈指の名将として名を馳せ、日本代表監督を務めるまでにステップアップしている。

 ザッケローニ流のチームマネジメントのもう一つの特徴として、選手との「信頼関係」が挙げられる。彼は、「チームを率いたときに何より重要なのは、選手の信頼を勝ち取ること。信頼がなければ、いかなるハードルも超えてはいけない」という指導哲学を持っている。ブラジルW杯敗退後、イタリアに帰国するザッケローニを、長谷部誠と内田篤人の2選手が空港まで見送りに行ったのは、彼と選手たちとの間に生まれた絆を象徴するエピソードだ。

(中略)だからこそ、集大成のブラジルW杯で結果を出せなかったことが悔やまれる。
 しかし、ザッケローニは敗退後に批判の的となった「自分たちのサッカー」というキーワードについてはポジティブな捉え方をしている。「『自分たちのサッカー』という言葉に関しては、うれしく思っている。つまり、そういうものが明確にあり、それを実践できていれば、異なる結果が出たという選手の思いがあった」
W杯での敗因についてザッケローニは、「選手の能力は十分にあった。日本が、これほどまでに質の高いメンバーを揃えることができたW杯はなかった」と前置きしつつ、次のように語った。

「この4年、常にチームのコンセプトは、バランスと勇気だった。世界の強豪を相手に引くのではなく、臆することなく自分たちの主導権を握るサッカーをする。リスペクトはするが怯まない、怯えない。そういったことにトライしてこの4年間、ほとんどの試合でできた。ただ、少し時間が足りなかったのかもしれない。特に、強豪国相手にも怯まない精神を植え付ける時間が必要だった。W杯では数人の選手が少しビビってしまった」

 この赤裸々な言葉の通り、最後の最後で「自分たちのサッカー」ができず、日本代表はW杯に敗れてしまった。それでも、ザッケローニの「観察眼」と「信頼関係」をベースにしたチームマネジメントの手法は、指揮官自身が「4年間で自分としては日本代表が大きく成長したと考えており、うまく機能したと思っている」と明言する通り、ビジネスパーソンにとって数多くのヒントが詰まっている。

小澤一郎

 

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