全米のバスの「電化」を目指す、バス版テスラモーターズ

プロテラを率いるライアン・ポップル(右)と電池開発担当のダスティン・グレース(中)、ジョシュ・エンサインCOO(左)。(photograph by Timothy Archibald)

環境にも優しい上にデザイン性が高いことで人気の電気自動車「テスラ」。従軍経験を持つ元投資家がテスラをモデルに、バス業界を変えようとしている。

イラク戦争に従軍中、米陸軍の燃料や補給物資を警護していたライアン・ポップル(39)は、ある疑問を抱いていた。

「クウェートの港で装甲車を降ろしている脇で、石油タンカーが出航していくんだ」

不安定な中東情勢を経験し、化石燃料の限界を感じた彼は現在、電気バス製造会社「プロテラ」のCEOを務めている。

除隊後、石油大手シェブロンやテスラモーターズを経て、ベンチャー投資会社KPCBに加わったポップルは、全米のバスを電化しようとするプロテラの壮大なビジョンに惹かれて出資。しかし、製造スピードを上げられない経営陣に業を煮やし、2014年に同社のCEOに就任したのだ。

プロテラのバスは軽量のガラス繊維や炭素繊維で作られていて、エンジン周りはテスラのセダン「モデルS」に似た燃費のよい構造となっている。テスラ同様に自製している電池パックも床に置けるよう平面にし、車内スペースを確保している。

同社は10年以降、米国内に88台を出荷しており、昨年までの売り上げは1900万ドルに達する。17年末までに目標の年間250台を製造できた場合、収益は1億9000万ドルに達する見込みだ。

アラン・オンスマン = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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