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2017.04.12

自然派化粧品LUSH、新市場より「買い物体験」向上に注力

ラッシュ、オックスフォード店(nanka / Shutterstock.com)

英国発の自然派化粧品ブランド、ラッシュ(Lush)は世界49か国で事業を展開する。扱う製品は、バス、ボディー、ヘア、スキンケア用品などだ。2016年の世界全体での売上高は7億2300万ポンド(約994億円)となり、前年比26%増を記録した。

世界の美容業界に関する情報を提供するビューティー・インク(Beauty Inc.)によると、ラッシュは2015年の化粧品会社のランキングで世界34位。2012年の46位から大きく順位を上げた。

同社は2017年から成長戦略を大きく転換し、向こう3年間は新市場への進出よりも、各国の既存店での顧客の買い物体験をより「個人に合わせた」ものにしていくことに注力する方針だ。さらに、年間およそ50店舗を現在よりも面積が広い新店舗に移転させる計画。すでにより広いスペースに移転した各店では、売上高が30~50%増加しているという。

北米での事業拡大に重点

ラッシュの店舗数は現在、世界全体で931に上る。このうち250店舗が北米地域にある(米国内に200店舗)。北米での売上高は2014年以降、30.5%増加。既存店売上高は26%増加している。また、2016年6月までの通期(2016年度)の北米地域での売上高は、4億5500万ドル(約504億円)となった。2017年度は前年比25%増の5億5700万ドルを見込んでいる。

同社は今年度中に、米国とカナダにある既存店のうち30店舗を移転させる計画だ。シカゴの店舗を売り場面積の広い店に移転させるほか、ボストンとニューヨーク、ロサンゼルス、ダラス、ヒューストンに加え、カナダのカルガリーをはじめとする主要都市に新たなコンセプトストアをオープンさせている。

ラッシュは1995年、マーク・コンスタンティンが複数のパートナーと共同で創業。翌1996年に北米に進出。カナダに生産施設を構えた。

「自然派」にこだわり

ラッシュの店に客が引き寄せられる理由の一つは、香りかもしれない。ラッシュの製品は100%がベジタリアン向けの原材料を使用。うち80%は、ビーガン(完全菜食主義)でも使えるものだ。動物実験は一切行っていない。
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編集=木内涼子

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