管理とは、人がやるべき事をきちんとしているかを監督すること。伝統的な「監督」の考え方は、従業員は誰かに見張られていなければまじめに仕事をしなかったり、間違いを犯したりするという恐れに基づいている。
「管理者」は後ろに向かって進み、自分の軍隊の誰かが行進を乱していないかに目を光らせる。後ろ向きに行進しているので地平線の向こうを見ることはできないのだ。
一方の「リーダー」は、自分のチームと自分自身を信頼しており、皆が後ろに付き従ってくれることを確信しながら、正面を見据えて自信を持ち前進する。信頼ができる人を雇い、監督は最小限にとどめて自由に力を発揮させるだけの自信がある。
管理者は、信頼に身を任せることができない。神経質かつ批判的で、警戒を怠れば悲惨な結果が自分に振りかかると思い込んでいる。
管理職の恐怖心は放置され続けている大きな問題点であり、ビジョンや創造性、協調性、収益力を企業から奪っている。
恐れを抱いている管理者の思考を、自信にあふれたリーダーのものに変えることは難しい。私たちも、恐怖に基づいた管理法を刷り込まれているので、その他にも人々を統率する方法があるということに気付かない。
だが方針や規則でがんじがらめにせずとも、人々の統率は可能だ。そのためには、人々を意思決定のプロセスに巻き込み、力を合わせて素晴らしい成果を出そうと励ますことだ。
人は本来、創造的で協調性があるものだが、毎日あるいは毎週行われる無意味な評価や順位付けがそれを阻害している。
以下に、あなたの上司が管理者だがリーダーではないことを見分ける10の特徴を紹介する。
1. 決定を下す前にチームに意見を求めない。自分の権力を誰にも分け与えたくない。他の意見を聞かずに決定を下す権限こそが自分の力の源だと思っている。
2. 部下の努力や業績を認めない。ゆるぎない力関係を保ちたいがために、チームメートを認め感謝することを恐れる。
3. 間違いを認められない。上司が間違っていることを全員が知っていても、言い出せない雰囲気を周囲に作り出している。部下は上司が間違っていないふりをし、上司もそう信じているふりをする。
4. 反対意見、あるいは丁寧な議論でさえも受け入れられない。
5. 部下からのアドバイスは誰もいない密室で1対1でなければ聞き入れられない。