「高い成長性(2017年度目標は、前年対比86%増の1億6000万ドル)とコスト削減効果により、黒字化の見通しが立ったことを投資家は好感したのだろう」とOktaの共同創業者兼CEOのTodd McKinnonは述べている。Oktaは数年前にIPOが可能な事業規模に達していたが、これまで最適なタイミングを見計らっていた。
Oktaの競合で、3月に上場したMuleSoftも、取引初日に株価が45%上昇した。同月には、スナップが巨額のIPOを果たしている。エンタープライズ系企業では、他にもAlteryxとPresidioも最近上場したが、OktaやMuleSoftに比べると精彩を欠くデビューとなった。他にもAppDynamicsのIPOが予想されていたが、上場直前の1月にシスコが37億ドルで買収している。
McKinnonによると、上場時期は7か月前に決断したという。彼らの判断材料になったのが、昨年6月に上場したクラウド通信のTwilioの好調なパフォーマンスだ。IPO市場は回復の兆しを見せているが、McKinnonはこの春にIPOの駆け込みが増えるとは考えていない。
「半年前に比べてIPO件数が大きく増えたように感じるかもしれないが、歴史的な低水準を脱したばかりだからそう錯覚しているだけだ。干ばつの後に雨が2日続いて大雨だと感じるようなものだ」と彼は言う。
当初、OktaはよりアグレッシブなIPO計画を立てていた。同社が2014年6月に約6億ドルの評価額でシリーズEラウンドを実施した際、McKinnonはフォーブスに対して次のように述べている。「もともとは2013年秋に資金調達を行い、IPOを2015年後半にする予定だったが、2016年に変更した」
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McKinnonによると、戦略は大きく修正しなかったが、上場時期を遅らせたことで投資家に対してより説得力のある成長ストーリーを提示できたという。(一部の関係者は、上場に向けてOktaがマーケティング費用を増額したと指摘している)