ビジネス

2017.04.11

「破壊」の安売り、もうやめませんか?

Roman Samborskyi / shutterstock.com


これ以上我慢できないと感じたのは、ポルシェの新型「パナメーラ」の広告を目にしたときだった。そこには、同社が自らを「破壊」したとあった。

従来モデルを若干改良し、ほぼ同じ値段でほぼ同じ購買者層に販売すれば、自らを「破壊」することになるのか? これを見た瞬間、この言葉がその意味をほぼ完全に失ってしまったことに気づいた。

ここでの問題はもちろん、本来の意味の破壊には有用な意味があるということにある。「破壊」は、新規参入企業が既存企業と戦う手段として重要で、また市場の仕組みを理解する一助にもなる。

しかしその意味が失われれば、使い方の正誤にかかわらず、破壊という言葉を使う価値が全くなくなる。自分の商品やアプリが破壊的だと投資家や顧客に説いて回ってもあきれられるだけで、しっかりとした事業分析はしてもらえないだろう。

だがまだ遅くはない。自分の会社が本当に「破壊的」なことをやっていない限り、何かを「破壊」していると言うのは慎んでほしい。現状をありのまま表現することは恥ではない。

他と違うことをしている、やり方を変えていると言うのはよいが、評判を広めてもらうためだけに、自分が何かを破壊していると言わないこと。

人の注意を引くためだけにこの言葉を使うべきではない。簡潔かつ明瞭な言葉で事業や対象顧客を説明する方が、長い目で見てはるかに多くの尊敬を得られるはずだ。

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事