イーロン・マスクやジャック・マー、「凄い起業家」10人の名言

左から、イーロン・マスク、王健林、ジャック・マー

ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、ラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグー。いつの時代も変革に挑む“ゲームチェンジャー”の発明やアイデア、情熱が世界を変え、そこには彼らを突き動かす言葉があった。

現代の世界的変革者30人が発した「凄い言葉」を紐解く第2弾。【第1弾はこちらから>>】


1) イーロン・マスク/テスラ・スペースX

──「『恐れ』は理にかなったものとして無視する。理にかなっていたとしても、前に進むのが遅くなるからだ」


[解説] 大学で物理学を専攻したマスクによる常に原理原則まで遡る「物理学思考」は、起業家としての武器だ。

2008年、マスクは危機的状況に陥っていた。スペースX最初のロケット「ファルコン1」は、3回連続で打ち上げに失敗。テスラは、予約注文を受けたロードスターの出荷の大幅な遅れで、倒産の噂が飛び交っていた。

さらなる失敗を回避するべく、宇宙産業からの撤退が合理的に思えた。だが、マスクは雑音に惑わされず、「なぜ打ち上げに失敗したのか」という技術的原因を追究。3度目の失敗も「新型エンジンは素晴らしかった」と、技術面での前進を冷静に評価していた。

08年9月、4度目で遂に打ち上げは成功。おまけにNASAからスペースステーションと民間宇宙飛行の大規模な契約を獲得。創業6年で達成した偉業の背景には、「絶対に不可能なもの以外は可能だ」という科学者然としたマスク流の思考法があったのだった。

──「私たちは世界に役立つことをしている。それが一番大事」

[解説] フィクションを愛する少年だったマスク。彼が独学で習得したプログラミングを駆使して開発したSFゲーム「ブラスター」で賞金を獲得したのは12歳の頃だった。自ら創業したZip2を売却、2,200万ドルを得て、IT長者の仲間入りを果たしたのも、わずか27歳。その後は、イーベイによるペイパルの買収で、1億6,500万ドルを手に入れている。

ただ、大好きだったゲームも、十分な結果を残したインターネットも、マスクにとっては「一生を懸ける仕事」ではなかった。彼は、悠々自適な生活を送れるだけの大金を元手に、「人類と地球の救済」を目指し、現在手がける3つの事業を開始。あえて険しい道を選んだのだった。

仕事を選ぶ時は、自分の嗜好や過去の実績に囚われず、「社会へのインパクト」を第一に考える。「明るい未来を信じられる仕事をつくることが、リーダー自身の誇りにもつながっていく」と、マスクは断言するのであった。

2) ジョルジ・パウロ・レマン/3G CAPITAL

──「人生でリスクを冒すことができる人間になるには、練習しかない」

[解説] リスクテイクの価値を説くブラジルNo.1の大富豪、レマン。その経験は、教室では学べないと語る彼は、嵐の中でのサーフィン、5回の国内優勝を果たしたテニスの経験が、ビジネスに役立ったと振り返る。

3) 郭台銘/鴻海(ホンハイ)精密工業

──「チーズを抜くことができますか」

[解説] アメリカのマクドナルドのレジで、郭は尋ねた。ファストフード界のトップカンパニーは、顧客の要望に柔軟に対応できるか。それは、鴻海をEMS業界のリーディング・カンパニーに成長させ、一代で14兆円企業を築き上げた巨匠なりの企業診断だったのだ。
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文=山本隆太郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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