イーロン・マスクやジャック・マー、「凄い起業家」10人の名言

左から、イーロン・マスク、王健林、ジャック・マー


4) ジャック・マー /アリババ

──「僕にとっての『ひざまずく』という言葉は、立てなくなった時に、横たわらずに、倒れずに、ただ膝をつき耐えるという意味なのです」

[解説] ジャック・マーほど、「危機」と向き合うことに長けた起業家はいない。設立後1年で、世界中に“狂乱的な事業拡大”をする中、インターネットバブルが崩壊。一転、半年で資金が尽きる見込みの危機的状況に陥った。この白旗を上げてもおかしくない状態で、ジャック・マーは躊躇なく、事業縮小を決断。“倒れる”ことを回避し、“耐えた”のだ。

膝をついた状態は、次に立ち上がる瞬間に備えた“立て膝の姿勢”でもある。社内の全体会議では、「バブルの崩壊で、業界が天国から地獄になり、僕たちはゲリラ戦士から正規軍になった」と危機を再解釈し、若い社員たちを鼓舞。メディアには、危機に陥った過程を巧みに説明し、過ちを認めることで、「存続に向け、事業縮小を選んだ優れたリーダー」と印象づけ、創業以来「最大の危機」を乗り越えた。

立ち続けられないからといって、すぐ倒れてはいけない。危機の中に好機を見出すことが、再起につながるのだ。

──「USBメモリーの使い方もいまだにわからない。でも、そんなのは些細なこと。大事なのは、理想が何かということだけだ」

[解説] 語学が得意で、大学の講師をしていたジャック・マーの人生は、IT技術とは無縁だった。アリババ創業時、彼がメールしか使えない“IT素人”だった一方、当時の中国インターネット業界を牽引していたのはMIT卒やプログラマー出身の若き“IT専門家”たち。それでも、35歳にして創業に踏み切ったのは、「インターネットが中国を変える時、その中心にいたい」と夢見ていたからだった。

「買いたい物と売りたい物を掲載した電子掲示板」の発想から出発したアリババの電子商取引。「掲載物はすべて審査、分類する」という方針を、技術スタッフは「インターネットの精神に反する」と指摘。マーはその反対を押し切り、素人目線から見た“理想のインターネット”を目指し、成功を掴んだ。

「理想があれば、後は誓いだけだ」

マーの原点は、技術至上主義でも、インターネット原理主義でもない。まずは、実現したい理想を持つこと。そうすれば、自ずとやるべきことは決まるのだ。

5) オスマン・カイバール/SAMUMED

──「シリコンバレーで投資家を探さなかったのは、あそこのタイムラインが、長期的な目標にはマッチしないから」

[解説] 「高齢化を逆転される治療薬」に世界中の投資家が資金を出したがった。ただ、創業者のカイバールは「支援が、時に自分の首を絞めること」を企業経験からよく知っていたのだ。

6) キム・ボム/クーパン

──「顧客を僕たちの望むように“曲げる”ことはできないけど、僕たち自身が顧客の要望に従って、“曲がる”ことはできるでしょ」

[解説] 顧客の求めるところに、ビジネスの正解がある。“韓国のアマゾン”の異名を持つ、電子商取引サイト「クーパン」も、掲げるのはもちろん「顧客第一主義」だ。
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文=山本隆太郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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