ビジネス

2017.04.11

日本企業が「欧州企業」から学べることが多い理由

Illustration by Koyoox


日置:ここで重要になるのは、「トランスナショナル型」に至る“経路・プロセス”です。米国企業の場合、国内が有望な市場だったことから、他国への展開は“選択科目”のようなものでした。一方、自国市場が限定的であるために早期から国外展開を意識していた欧州企業の中には、まずローカル適応に強みを持つ「マルチナショナル型」の企業として各国で自律経営した後、トランスナショナル型へと進化している企業があります。

一方で日本企業はそもそもグローバル型をとっており、そこから国内市場の縮小を背景として一層の海外展開を強いられる中で、トランスナショナル型への移行に苦労しています。そんな今だからこそ、欧州企業の経た過程が、日本企業の良い手本になると考えています。

日置:取材にご協力いただくのは、ユニリーバ。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス代表取締役を務める山崎一秀氏が、ニッポンリーバ(現ユニリーバ・ジャパン)に新卒入社した “プロパー”であることに象徴されるように、先進的なグローバル企業の中でも、勤続年数の長い社員を数多く抱える欧州企業文化を色濃く持ち続けています。

入山:ユニリーバの経営において、特に注目したいのは、経営における「グローバル」と「ローカル」の最適化。グローバル企業にとっては、宿命ともいえる経営課題ですが、中でもユニリーバの手がける消費財や食品は、ローカルの嗜好性や商習慣に沿うことが特に求められる産業です。グローバルブランドの展開とローカライズのバランスの最適化を実現するユニリーバ流の思想に迫りたいと思います。

日置:また、ユニリーバは長い歴史がありながら、今に至るまで常に変化し続けた企業。ユニリーバが変革を起こす際の「基盤」とは何だったのか。紐解いてみたいと思います。


入山章栄◎早稲田大学大学院経営管理研究科准教授。著書に『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』など。

日置圭介◎デロイト トーマツ コンサルティング執行役員パートナー。早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。

構成 = 山本隆太郎 、イラストレーション = Koyoox

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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