ビジネス

2017.04.15

「あたりまえ」にこそ、面白いヒット商品が多い理由

イラストレーション=尾黒ケンジ


上記のように、面白さは『構造』と『スタイル』に分けてみると理解が深まる。今回の例を式にすると、「あたりまえシリーズ」=『a=a(無意味)』+『ポエムor新書(ドヤ顔)』となり、これはなかなかの独自性を持つ組み合わせである。ピコ太郎のPPAPで言えば、『ペンパイナッポーアッポーペン=a+b+b’+a(繰り返しの気持ちよさ)』+『80年代テクノスタイル』と記述できる。

ところで世の中を見てみると、最近は誰もが見落としていた『あたりまえ』と『ドヤ顔』の組み合わせが新たなヒットを生み出している。

例えば、保温機能をなくした炊飯器がバカ売れしているそうだが、ここには本来ご飯を炊くお釜に保温機能はなかった、というあたりまえがあると同時に、その分厚い鍋はいかにもドヤ顔である。

また、日本酒の『獺祭』は杜氏がいないことで知られているが、ここでも『米+麹+水=日本酒』という古来からのあたりまえと、パリの三ツ星レストランで大人気というドヤ顔の組み合わせが熱狂的な人気を集めているのはご存じのとおりである。

これらのように、近年のビジネスでは、それまで無意味とされてきたような『あたりまえ』と『ドヤ顔』の組み合わせのなかに、ヒットを生み出すポテンシャルが隠れている可能性が高い。

結論を急ごう。企画をパクることはご法度だが、内部構造を真似ることには問題はない。そこで、『あたりまえコンサル』という仕事を考えてみた。あらゆる業種に対して『a=a』と『ドヤ顔』の組み合わせを押し付けていく、恐るべきコンサルである。それはきっと、常識的には無意味な『当然』を押し付けることで、クライアントを驚かせ、戸惑わせ、怒らせるだろう。

しかし、この『あたりまえメソッド』が、昨今の複雑化しすぎたビジネスのなかで、迷子になってしまったあなたのビジネスを再活性化させるかもしれない。『あたりまえコンサル』は、ただいまお試しキャンペーン中です。ご興味のある方は私のTwitterアカウントまでご連絡くださいませ。

【連載】電通総研Bチームの「NEW CONCEPT採集」


阿部光史◎電通総研Bチーム「make」担当特任リサーチャー。第4CRP局 デジタルクリエーティブセンター所属。電子工作系クリエーティブ・ディレクターとしてさまざまな「作ること」を探求している。Twitter:@galliano

阿部光史=文

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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