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2017.04.05 07:00

ラーメン界のスタバ「一風堂」がグローバル企業になれた理由

Nishihama / shutterstock.com

ラーメン店をスタイリッシュな場所に変えたいとの願いで、河原成美が地元福岡に一風堂を開いてから30年以上の月日が経った。河原はラーメン店のイメージを“ベトついて汚い”から“スタイリッシュで入りやすい”に変えただけでなく、上場を果たすまでに自社を成長させた。

運営会社の「力の源ホールディングス」が3月21日、東証マザーズに上場した。24日金曜日の取引終了時点で株価は340%上昇し、2639円をマーク。河原が保有する自社株26%の時価総額は6900万ドル(約77億円)となり、アジアで最もリッチなシェフの1人となった。一風堂以外にも複数のブランドを持つ力の源ホールディングスの2016年の連結売上高は、前年比17%増の208億円だった。

おしゃれなラーメン店を目指して

日本のソウルフードともいえるラーメンは今でこそ老若男女問わず誰からも愛されているが、一風堂が出現するまでは男性向けの食べ物という位置づけだった。店には鼻をつく臭いが充満し、労働者たちがすし詰め状態で食事をする場所というイメージがあり、スタイリッシュさや清潔さからは程遠い存在だったのだ。

当時31歳だった河原は1985年に一風堂を創業。従来のラーメン店と一線を画したのが店内のデザインだ。一風堂の店舗ではシンプルなイメージを実現するために木製のインテリアが使われており、エレガントでモダンなデザインが特徴だ。「私にとってクールであることはとても重要です」と河原はかつてインタビューで語っている。「一風堂という名前を筆書きしてみたことがあるのですが、本当に見た目が格好いいんですよ」

もう1つ画期的だったのが臭みのない豚骨スープだ。河原によると、マイルドで重すぎず臭いを抑えた豚骨スープに細麺を組み合わせたラーメンこそが良いラーメンだという。

おしゃれな店内とマイルドな豚骨スープを武器にラーメンのイメージを覆そうと立ち上がった一風堂は、1994年にオープンした新横浜ラーメン博物館に出店を許された8店舗の1つに選ばれた。さらに河原はテレビ東京の「TVチャンピオンラーメン職人選手権」で3連覇を達成、2005年にはテレビ番組「麺王」でも優勝を果たした。
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編集=上田裕資

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