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法令遵守だけで満足し、挑戦することの大切さを忘れた経営陣に明日はない―。2015年、投資家たちはいままで以上に経営者の「手腕」を注視するだろう。

 日本にはいま、2匹の巨大な「アナグマ」がいる。それぞれが、膨大なお金をかかえている。それは「個人」というアナグマと、「企業」というアナグマだ。共通しているのは、リスクをとるのが嫌いで、お金を抱えるのが大好きという点。物事のやりかたを変えるのが大嫌い。そして何よりも嫌いなことがある。それは、挑戦することと、投資をすることだ。

 日本の個人金融資産は1,645兆円もある。そして、そのうち現預金の比率は53%に当たる約870兆円。なんと、アナグマの1匹は870兆円もの現金をアナグラに抱えているのだ。仮に、このお金の3分の1でも投資や消費に使われたら、300兆円近い資金が動くことになる。まずはこのお金を動かすことができれば、景気が一気によくなる。

 そして、もう1匹のアナグマは企業サイド。上場企業だけで、2012年時点で内部留保を300兆円も抱えており、それは現在も拡大中である。これを従業員や株主に還元したり、設備投資に回したりすれば、これも景気の上昇につながるのに違いない。(中略)

経営者の「真価」が問われる年
 上述のアナグマがお金を抱えている点こそ
日本の問題であることは、日本政府、金融庁、経済産業省、財務省はいずれもよく理解している。増税の是非については意見が分かれるところだが、この資金を眠らせていることが、日本経済が活性化しない大きな要因であることはおおむねコンセンサスがとれている。 なぜなら、アベノミクスやNISA制度、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革、黒田バズーカ、スチュワードシップコード導入、伊藤レポートなどはすべて、この問題意識が背景になっているからだ。そして、筆者はこの点に関する改革を強く支持したい。特に強調したいのは、一橋大学の伊藤邦雄教授を座長に「伊藤レポート」が2014年夏に完成したことである。これは経済産業省もバックについている、画期的なレポートだ。

 識者や企業関係者、投資家が議論を重ねた結果、「日本の問題点は、この大企業の体たらくにある」と喝破したのである。「日本の問題は、成長意欲の乏しい大企業の経営陣にある」と正確に問題を把握したうえで、「コンプライアンス重視の経営は当たり前のことで、資産効率も考えた企業の経営状況を改善させなければ、経営陣の存在意義はない」とはっきり述べているのだ。具体的には「ROE(株主資本利益率)を8%以上にすべきである」と、数値目標も書かれてある。金融庁もその流れをバックアップしており、経営監査の解釈指針となる「スチュワードシップコード」を導入し、機関投資家側が投資先の経営陣との対話を求め始めたのである。

 日本の機関投資家もサラリーマン化が著しく、なるべく波風を立てたくなくリスクをとりたくないという風潮がある。そこで、伊藤レポートやスチュワードシップコードを通じ、なかなか動かない「狐(機関投資家)」を追い立てて、大企業の経営陣という巨大なアナグマを巣から追い出そう、と金融庁や政府は考えている。(以下略、)

藤野英人

 

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