日本のトップCEO、起業家ら13人に聞く「私を支える言葉」

左から、メルカリ代表取締役 山田進太郎、三菱重工業取締役社長CEO 宮永俊一、第一生命ホールディングス代表取締役社長 渡邉光一郎、ANAホールディングス代表取締役社長 片野坂真哉

自ら道を切り開くリーダーたちは、必ず自分を支え、鼓舞する「言葉」を持っている。昨年のForbes JAPANアワード受賞者13名に聞いた「私を支える言葉」。

─仕事において、これまで一番支えられた言葉は?

「前向きな諦観と後に繋ぐ情熱」
宮永俊一/三菱重工業取締役社長CEO

過去に、大きなトラブルで思い悩んだときにマルクス・アウレリウスの『自省録』を読み、「諦観」とは物事にきちんと向き合い、本質を見極めることで、目の前の問題に全力で取り組むことが何よりも大事だと心から思いました。そのような考えから出てきた造語です。人生には限りがあるが、だからこそ、この人生という仮の宿の中では、巡り合った人との縁を大切にして、全力で頑張っていこうと常に考えています。

「テクノロジーは奇跡をうむ。それは人間の根源的な能力を押し上げ、より少ない資源でより多くの成果を可能にしてくれる」ーピーター・ティール
玉川 憲/ソラコム代表取締役社長

私は、テクノロジーは人々に豊かで持続性のある社会をもたらすと、テクノロジーの力を信じています。この言葉は、私がソラコムを立ち上げるときに、自分のビジョンを後押ししてくれた言葉です。

「志千里に在り」ー曹操
片野坂真哉/ANAホールディングス代表取締役社長

出張で訪れた中国杭州のお寺の扁額にあった四文字。帰国して調べた結果、三国志の雄、曹操の詩の一節と知りました。年老いた馬が、馬屋の横木につながれていてもなお、千里の草原を走ろうという気持ちを失わない。企業も人生も常に難問が襲いかかる。あるいは、業績が低迷することもある。しかし、常に高い志を失わずに努力を続けることで、道は開けると思います。

「何もないときには、何かがある」
岡田光信/アストロスケール創業者

デブリ除去の仕事を始めるとき、市場はないよ、技術もないよ、お金出してくれるところないよ、法律的に解けないよ、と言われました。宇宙業界の友人もいませんでした。お金もありませんでした。通常なら諦めるところです。それでもきっと切り口があると考えました。宇宙の学会はお金払えば入れるとわかったので何度も出て知り合いを増やしました。論文を多数手に入れて、著者に会いに行きました。ピッチコンテストに出る機会も得られ投資家と触れ合うこともできました。衛星工場を見せてほしいと数社にお願いして必要な設備がわかりました。今の、人・金・技術を作り上げるための切り口は実はたくさんありました。

「Business is Entertainment!」
南 壮一郎/ビズリーチ代表取締役社長

事業がうまく立ち上がらず困難に直面することも多くありますが、結果を残すまで諦めず、一生懸命に取り組めば世の中がより良い方向に向かい、世の中に大きなインパクトを与えることができます。仕事を通して、世の中にインパクトを与えることが心から楽しいことであると前職の楽天イーグルス時代に当時の上長だった三木谷(浩史)さん、島田(享)さんに教わりました。

──これまで人生で一番支えられた言葉は?

「何か僕にできることある?」
山田進太郎/メルカリ代表取締役社長

15年くらい前、ニューヨークでパソコン無くして途方にくれたとき、LAの友達に電話して、彼経由でいろいろと仕事のパスワード変更などを依頼していました。その際に言われた言葉です。この言葉、英語だと What can I do for you? で、すごく一般的な言葉だということを、英語を話すようになって気づきましたが、当時はすごく新鮮ですごくうれしかった。今では困った人がいたときには自分がこの言葉を使うようにしています。
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編集=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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