最近では海外でも注目が高まる同社は、特に欧州諸国でも人気を拡大しつつある。しかし、3月31日に発表された同社の決算リポートでは売上は伸びたものの、利益は前年同期とほぼ同水準にとどまった。
2016年のファーウェイのスマートフォン出荷台数は1億3900万台。売上高は、前年比32%増の751億ドル(約8.4兆円)となった。しかし、利益は前年からわずか0.4%増の52億ドルにとどまった。利益の伸び悩みはマーケティング部門への投資の増大だとされている。
同社の輪番CEO兼取締役副会長である徐直軍(エリック・シュー)は、ファーウェイが昨年49億元(約792億円)をマーケティングや戦略的パートナーシップ、リアル店舗の設置に支出したと発表した。シューによるとこの支出は一時的なもので、2017年はマーケティング部門の支出はこれまでと同水準になるとしている。
シューはまた、7.1%という利益率は「フォーチュン500企業としてはかなりの高水準である」と述べたが、この数字も昨年の9%からは低下している。
同社CFOの孟晩舟(メン・ワンツォウ)は「現状の利益率がどうであれ、我々の未来に向けて投資を続けていく姿勢に変わりはない」と述べた。
ファーウェイは2016年の売上の14.6%をR&Dに注ぎ、5Gや人工知能(AI)部門への投資も活発化させていくとしている。現状では同社の売上の56%以上が通信ネットワーク部門からだが、今後の成長を牽引するのはスマホやクラウドビジネスであるとしている。
筆者はファーウェイが「AI機能」を全面に押し出した最新端末「Honor Magic」を最近テスト使用し、この端末の先進性を実感した。今年2月末にスペインのバルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)での5Gに関連したカンファレンスでも、ファーウェイが主導的ポジションを獲得していることを実感した。
ファーウェイが中国のテック業界をリードする存在であることに疑いは無い。ファーウェイは世界3位のスマートフォンメーカーであり、アップルやサムスンを追撃する上で直近の利益率が低下しようと、マーケティングに注力するのは理にかなった戦略と言える。