AIで自閉症を早期発見 乳幼児の「脳のMRI画像」解析で実現へ

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自閉スペクトラム症(ASD)の早期発見は、家族がサポート体制を組んだり選択肢を探ったりする上で不可欠であるものの、これまで乳幼児期における診断は難しいとされてきた。しかし近い将来、AIによりその超早期発見が可能になるかもしれない。

過去の研究により、ASDは脳の過成長と関連すると指摘されている。ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者を中心とするチームは、その指摘をベースに、早くて生後6か月の乳児の脳のMRI画像からADSの兆候を検出するメソッドを開発した。

同チームは、ADSの兄弟姉妹がいる(ADSリスクが高い)乳児106人と、自閉症の家族を持たない(ADSリスクが低い)乳児46人の脳を、生後6か月、12か月、24か月の3回にわたってMRI撮影。ADSの乳児が1歳に達する前に見られる脳体積の増加を、アルゴリズムに組み込んだ結果、高リスクグループのADS発症を81%の精度、86%の感度で予測した。

この研究は、米国立衛生研究所の助成により、自閉症と乳児の脳の発達を調べる「Infant Brain Imaging Study」の一環で実施されたもの。

専門家団体IEEEが発表した記事によると、脳の発達を研究する心理学者で、研究論文の筆頭著者であるノースカロライナ大学のヘザー・ハズレットは「(他の診断ツールに比べて)より早い段階において、より高い確率で発見できます。行動観察による検査ツールと比べてもはるかに高確率です」と発言。

現在、子どものADSの検査では、質問票を用いたスクリーニングテストが行われることが多いが、多くの場合は1歳未満の乳児には使えない上、感度は50%ほどとされている。

近年、医療現場におけるAIの活用に、高い期待が寄せられている。ADSのみならず、皮膚がん、乳がん、脳腫瘍の早期発見にAIが役立つという研究結果もある。医療従事者には、医学の知識だけでなく情報処理ツールを使いこなす力も必須になりつつある。AIの活用は特に乳幼児医療においては大変重要だと言えるだろう。

編集=海田恭子

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