そこで苦肉の策として、まずアプリはβ版として開発することとし、市場にはリリースしない。そして、β版のアプリを搭載したスマホ30～40台をユーザーに貸与して、動画集めや作品作りを行う“実験的プロジェクト”として始めることにしました。夢の5000万カメが、いきなり30カメになってしまったよ…まあ、仕方ありません。うだうだ考えているくらいなら、とにかく飛べ！です。次に行きましょう。
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で、次にやったのが監督さん探し。めちゃめちゃ難航しました。国内外で活躍しているクリエイターを集めたいって思っても、みなさん当然ものすごく忙しい。せっかくプロジェクトに興味を持ってくださったとしても、ほとんどがスケジュールアウトです。でも、半泣きで探し続けること数か月。ついに3人の素晴らしい監督がプロジェクトへの参加を表明してくださいました。
1人目は、関和亮さん。Perfumeやサカナクション、星野源の「恋」や世界3000万再生数を超えたOK GOのミュージックビデオの制作を手掛けたワールドクラスの映像クリエイター。
2人目は、長添雅嗣さん。ももいろクローバーZのミュージックビデオや東京駅のプロジェクションマッピングを制作した気鋭の映像ディレクター。
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3人目は、長久允さん。今年、サンダンス映画祭ショートフィルム部門で日本人初のグランプリを獲得した映画監督（普段は大手広告代理店のCMプランナーさん）です。
3人とも素晴らしい作品を作ってこられた偉大なクリエイターなのはもちろんですが、僕にとってはとにかく最高にいい人。僕の1万倍くらい忙しいだろうに、よくぞこんな海のものとも山のものともわからないプロジェクトに参加しようと思ってくれました。世界で活躍する人は器が本当にでかい。マジでリスペクトです…（言葉が軽くてすみません）。
そして、3人の監督さんと何度も話し合いを重ね、以下の3つの作品を作ることにしました。
大事なのは、「どんなテーマで」「誰が撮影するか」です。多くの動画が集まるかどうかは、すべてそこにかかっています。
たとえば関さんと話したのは、東京のお正月を新鮮な目で撮ってくれそうな人は誰か？ ということでした。目を付けたのが、東京在住の外国人。渋谷のスクランブル交差点を歩いていると、たくさんの外国人旅行者が撮影をしているのですが、あれって僕らにとっての当たり前が、彼らにとっては新鮮ってことなんですよね。
で、YouTubeとかインスタグラムとかにアップされているスクランブル交差点の動画や静止画を見てみると、意外とどれもいいんです。ワクワクやドキドキが滲み出しているというか。やっぱり撮影者本人が心底楽しんで撮っているものは、素人、玄人関係なく絵に力が出てくるのかなと思いました。
長添さんとは「若い人ってやばい、やばいってよく言うけど、そんなに言うなら、そのやばいをそのまま撮ってきてもらおうよ」という話を。長久さんとは「スマホで撮影するのなんて当たり前のスマホネイティブな中学生たちが、強烈に“今”を記録したいって思うタイミングって、やっぱり卒業直前じゃない？」という話を。監督、テーマ、撮影者、この3つの変数をいろいろ変えながら、これだ！と思う方向を決めていきました。
