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2017.03.31

育休増加が女性の不利益に? インドの「先進的」新法に懸念の声

Syda Productions / shutterstock.com


「男性の育児休暇法を導入すれば、子育ての負担を共有する文化を醸成し、出産休暇を理由とした女性差別を防ぐことができるかもしれない」と語り、性別にとらわれない形での規制を制定すべきだったとの見解を示した。

また、女性の職場復帰を支援する長期的なサポート体制が十分でないことも、この法律の導入では解決されない可能性がある。インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)の調査によると、インドでは母親の25%が第1子出産の後に仕事を辞めており、多くが育児と勤務日程の折り合いをつけるのが難しいと感じている。

ムラリダランはこれが既婚女性の雇用に影響する最大の問題だとし、働く子持ち女性への支援を家庭と職場の両方で強化する必要があると指摘している。「女性は出産休暇の終了後、ほとんどが職場に復帰しない」(ムラリダラン)

遠隔勤務やパートタイム勤務などで働き方の柔軟性が増す一方、こうした勤務形態はITやITeS(IT活用サービス)などのごく少数の業界に限定される。働く母親が出産前の職務に戻りやすいよう、これらの勤務方針を採用する業界を増やす必要がある。

問題はあるにせよ、インドは新法により、出産直後の女性支援において正しい方向へと一歩踏み出した。賃貸情報を提供するファストフォックス・ドットコム(FastFox.com)のパラブ・パンデイCEOは、この変化がエコシステム全体にとって健全なものだと感じている。

「女性を雇用する数は大企業がはるかに多く、休暇の支給も経営上問題ないはず。全体的には評価できる措置で、より多くの女性の利益になると思う」と語った。

編集=遠藤宗生

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