ビジネス

2017.03.28 17:00

アドビが見せた「お買いものエクスペリエンス」の未来

ラスベガスで開催されたAdobe Summit 2017 「SNEAKS」セッションの様子。

アドビといえばPDFのイメージが強く、もう少し詳しく知っていても、IllustratorやPhotoshopといったクリエイターのためのソフト提供ブランドだと思っている人が多いのではないだろうか? しかし、それは今やアドビという企業の一部の側面に過ぎない。

実は、アドビはデジタル・マーケティング全般─データ分析、キャンペーンの管理、実行、広告のプランニングからクリエイティブの制作まで─に必要なありとあらゆるツールを提供する一大デジタル・マーケティング会社に変貌している。

身近なところで言えば、「このウェブサイトの訪問者数は・・・」と語られる訪問者数を数えるソフトも、アドビのAdobe Analyticsという製品だ。さらに、同じウェブサイトを訪問したはずなのに、隣の人とは違う画面が出てくるという現象も、アドビのTargetという製品のなせる技。ユーザーがサイトに訪問した瞬間にミリ秒単位で判断し、見ている人に最適なコンテンツを出し分ける技術が使われているのだ。

開発中の最新技術がお目見え

そのアドビは年に一度、Adobe Summitと呼ばれるカンファレンスを開催している。参加者は年々増え、今年は1万2千人以上のマーケターが世界からラスベガスに集結した。

世界最大規模のマーケティングの祭典とあり、合間には映画「ラ・ラ・ランド」主演のライアン・ゴズリング(写真下)やNFL史上最高のクォーターバックと評されるペイトン・マニングによるトークセッション、ONEREPUBLICのコンサートといったお楽しみもありつつ、3日間(3月21〜23日)にわたり、250以上のセッションで最新技術や事例についての積極的な意見交換が行われた。

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その中でも2日目の夕方に開催されたSNEAKSというセッションは、アドビが現在開発中の技術を垣間見られる楽しい内容だった。「ゴーストバスター2」にも出ていたアメリカのコメディエンヌ、ケイト・マッキノンをゲストに開発中の新しい技術がお披露され、会場は笑いに包まれながらも、その技術に熱い視線が注がれた。

中でも「なるほど」と思ったのは、VRの中に広告を出すという「Marketing VR」という技術だ。

舞台上でマッキノンがVR装置オキュラスを装着し、ラスベガスの街を歩いているような光景を見ている──。その状況でパソコンをちょこっと操作すると、マッキノンの視界に見えている街のビルボードに別の画像がはめこまれ、あたかも別のビルボードがあるかのように変化する。さらには、道を走るトラックの側面には動画の広告がはめこまれている──。

VRは仮想現実だから、こういったことができるのは当たり前だが、マトリックスの世界がパソコン一つで出現してしまうようになったとは・・・。
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文=武井涼子

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