「全ての靴はカスタム化が可能だ。まずはサンダルから新しい靴づくりのあり方を提案していきたい」と同社の共同創業者兼CEOのShamil Hargovanは話す。
Hargovan(29)はもう一人の創業者、Louis-Victor Jadavji(24)と共にフォーブスの2016年版「30アンダー30」(30歳以下の重要人物30名)に選出されている。二人は2014年にバンクーバーでWiivv Wearablesを創業し、最初に3Dプリントのインソールを開発した。これは、ユーザーがスマホで撮影した足の写真をもとに、カスタムインソールを製造するというもので、昨年キックスターターでキャンペーンを実施した。
インソールの価格は79ドルで、同社はこれまでに1万5000枚を販売している。Wiivvは、これまでにEclipseやAsimov Venturesから総額700万ドルを2000万ドルの評価額で調達している。同社は、2月にカスタムメイドのインソールを製造する「eSoles」を買収し、新たな製品の開発に取り組んでいた。
今回キックスターターでローンチしたのは、男性用と女性用のサンダルだ。デザインはいたってシンプルだが、3Dプリントによりカスタムフィットを実現している。Hargovanによると、ナイキなど他社メーカーはデザインのカスタムサービスを提供しているが、フィット感をカスタマイズするのは同社が初めてだという。鼻緒は足の形に合わせて位置を調整しており、ストラップも調整・交換が可能だ。通常価格は95ドルだが、キャンペーン価格は65ドルに設定されている。
275ドルの「スワロフスキー」バージョンも
275ドルを支払うと、サンフランシスコの靴職人「Frank Beneduci」がデザインした男性用の特製サンダルか、ストラップにスワロフスキークリスタルをあしらえた女性用サンダルを購入できる。「我々にとっては、インソールからフットウェアへ事業を進化させる大きな転機だ」とHargovanはキャンペーンの成功に期待を寄せる。
Wiivvは、キャンペーンの目標金額を設備投資に必要な25万ドルに設定しているが、Hargovanは100万ドル集まることを期待している。Wiivvの今年の売上高は300万ドルを突破する見込みで、現在交渉中の提携が実現すれば、さらに上積みされる可能性があるという。
事業の成長を加速させるため、HargovanはHPやシマンテックで要職を歴任したManny Kostasをチーフ・マーケティング・オフィサー兼アドバイザーとして迎え入れた。HargovanはWiivv を創業する前、HPに3年半勤務しており、Kostasは当時のメンターだという。
Hargovanが描く将来戦略は、外部の靴デザイナーや他のブランドと提携をして、3Dプリント技術を提供することだ。「自社製品を開発する目的は、我々の技術力をアピールすることだ。将来的には、売上の80%を他社との協業で稼ぎたい」と彼は話す。