今回の記事はエアビーアンドビーが、かつて進めていた宿泊者専用の建物の建設計画を諦めたことも示唆している。同社幹部はゲスト専用ビルのビジネスモデルに確信が持てず、建設が近隣住民の反発を招くことや、行政機関との新たな確執を生むことを恐れている。フォーブスの取材にエアビーアンドビーの広報担当者は回答を拒否した。
しかし、ゲスト専用の小屋の設置は企業価値300億ドルのエアビーアンドビーにとって非常に興味深い動きと言えそうだ。
米国のオレゴン州ポートランドでは、地元政府が建設費を負担し、ホームレスの住居として一般家庭の裏庭を活用するパイロットプログラムが始動している。家のオーナーは一切の費用負担無しで裏庭にタイニーハウスと呼ばれる小さな小屋を建設できるが、最初の5年間はそこにホームレスの家族を住ませることが条件だ。5年が経過した後はその小屋はエアビーアンドビーを含む、様々な用途に活用することが許されている。
ポートランドでの試みはホームレスの支援が目的だが、エアビーアンドビーは同社自身の利益のために同様なプロジェクトを進めていくという。土地のオーナーに建設資金を融資することも考えられる。
この動きはウーバーやリフトが車を持たないドライバーに車を貸与することと、類似した試みと見ることもできる。昨年、エアビーアンドビーの社内の実験的デザインスタジオ「Samara」は日本の奈良県吉野郡に、世界初のコミュニティハウスとなる「吉野杉の家」をオープンした。
エアビーアンドビーはこのところ、リスクをとりつつ事業拡大への意欲を見せている。新機能の「エクスペリエンス」では旅に体験を付加価値として提供する。買収の動きも活発で決済関連のスタートアップの「Tilt」や富裕層向けバケーションレンタルの「Luxury Retreat」を数億ドルで買収した。
エアビーアンドビーのCEOのブライアン・チェスキーは先週、上海を訪問し同社の中国でのサービス名称をAibiying(愛彼迎)に変更することを発表。中国での事業拡大への意欲を語っていた。