ビジネス

2017.03.27

世界最大の起業家支援団体「エンデバー」の全貌

マレーシア・クアラルンプールで開催された第69回のエンデバー国際起業家選考会の様子


エンデバーが「ビッグバブル」と呼ぶ理想の起業家エコシステムのかたちがある。その事例のひとつが、アルゼンチン・ブエノスアイレスにおけるテック業界の現象だ。

同地域では、15年前にエンデバーがメンタリングや投資を通して支援を行った起業家が成功し、その上位6社が核となり、現在の起業家コミュニティが形成され、業界全体の80%の起業家に影響を与えている。エコシステムの核となる次世代起業家への支援により、次の起業家を生み、社会に大きな影響を与え、“新しい起業家エコシステム”をつくること―を重視している。

エンデバーは1997年、NPOとして、リンダ・ロッテンバーグらが共同創業し、新興国市場に大きな影響力を与える起業家たちを支援する団体としてスタート。そのため、世界30拠点は新興国と先進国が交差している。

アメリカはグローバル本部のニューヨーク、サンフランシスコの他、デトロイト、マイアミ、ルイビル、アトランタの4拠点。中米はメキシコ、南米がコロンビア、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、チリ、ペルー、エクアドル。欧州はスペイン、イタリア、ギリシャ、ブルガリア。中東はトルコ、エジプト、サウジアラビア、レバノン、ヨルダン、UAE。アフリカはモロッコ、南アフリカ、チュニジア、ケニア、アジアはフィリピン、マレーシア、インドネシア―、そして2017年3月、日本拠点が本格的に活動開始する。

テック業界の「ビックバブル」の図。青い大きな円はエンデバーが支援した起業家。

数字でみるエンデバー
30:エンデバーの世界活動拠点数は30拠点にのぼる。先進国と、南米、アフリカなどを含む新興国が交差している点が特徴。

1421:エンデバーの国際起業家選考会に通過した、世界各国の「エンデバー・アントレプレナー」の総数。

60万:エンデバーコミュニティの「エンデバー・アントレプレナー」は2015年に、60万人の雇用を生んだ。

81億6000:エンデバーコミュニティの「エンデバー・アントレプレナー」は2015年に、81億6000ドルの収益を生んだ。

2020年までの目標
2億ドル:「エンデバー・カタリスト」のポートフォリオ・ゲインの目標。

20億ドル:「エンデバー・アントレプレナー」の総資金調達額の目標。

20×:ローカルの起業家エコシステムの創出目標数。

200億ドル:「エンデバー・アントレプレナー」による収益の目標。

文=山本智之

この記事は 「Forbes JAPAN No.34 2017年5月号(2017/03/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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