パキスタンの株式市場に投資している人たちにとっては、うれしいニュースだ。人々の幸せは大抵、経済成長と繁栄につながるものだからだ。同国の株式相場は今後も上昇するだろう。
「世界幸福度報告書」は、1人当たりGDPの成長率をはじめとする量的データと、社会的支援や人生における選択の自由、腐敗に対する認識など、質的データを組み合わせて各国・地域の国民の幸福度を評価し、順位付けをしたもの。
パキスタンがインドに大差を付けたことに、驚く人もいるかもしれない。インドは競争力、GDP成長率、失業率など多くの指標において、パキスタンを上回っている。それに、インドではパキスタンほど、軍事クーデターもテロ事件も繰り返されていない。
パキスタンは幸福の追求におけるどのような面で、インドを上回ったのだろうか。その問いに明確に答えるのは難しい。だが、答えを導くために一つ注目すべき点があるとすれば、それは、パキスタンが世界186の国・地域の経済的な自由度を測る「経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」において、インドをリードしているということだ。
米シンクタンク、ヘリテージ財団と米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが毎年発表するこの指数に基づくランキングでパキスタンは今年、141位に入った。インドは143位だった。
この指数は各国・地域の貿易とビジネス、投資の自由、財産権保護の程度などを測るものだ。両国の順位にそれほど大きな差はないと見る向きもあるだろう。いずれも最下位に近いランクだ。
だが、それでもパキスタンの順位はここ数年、一貫してインドを上回っている。順位を決定する評価項目を個別に見ると、パキスタンはビジネス開発や政府支出など、経済的な選択の自由度に大きく影響する分野で、インドより評価が高くなっている。
簡潔に言えば、パキスタンは市場と政府当局の連携強化という点で、インドより対応が進んでいるということだ。自国が得意とする経済分野に、担当の政府当局が適切に関与することができている。そして、パキスタンのこの戦略は、幸福を追求する国民がいかに富を創出し、消費するかにおいて違いを生み出し始めている。