「値段」で店を選ぶ人が8割
バラシスの報告書からも、上述のような消費者の傾向を見て取ることができる。買う予定がなかったものでも、クーポンが使えるならその商品を買うと答えた消費者は、回答者の3分の2を上回った。その他の主な調査結果は、以下のとおりだ。
・ チラシやメールなどの値引きに関する情報によって、購入する商品を決める ─ 86%
・ クーポンの有無は、新製品を試すかどうかに影響を与える ─ 86%
・ クーポンの有無は、どの店で買い物をするかに影響を与える ─ 84%
・ 紙に印刷されたクーポンがある場合、それを使える店で買い物をする ─ 77%
・ ロイヤリティカードなど、紙に印刷されたクーポン以外の形で割引を受けられる場合、その店で買い物する ─ 67%
・ ウェブサイトからクーポンを印刷して利用する ─ 75%
小売店にとってのクーポン
これらの調査結果から分かるのは、消費者は商品の値段について、自分の側に(管理、または責任を負う)「力」があると思いたいのだということだ。調査結果だけでなく、過去の実例もこのことを示している。
大手百貨店チェーン、J.C.ペニーが経営方針を変え、クーポンの発行ではなく常に低価格で商品を販売する「EDLP(エブリデイロープライス)」戦略を採用することを決めた数年前、同社には何が起きたかだろうか。売上高はその四半期、20%減少した。
これらが意味するのは、「経験」の重要性だ。消費者の心に強い印象を残すためには、小売業者は人間が求める「狩猟によって得られるスリル感」を満たす必要がある。クーポンの目的は、消費者に一度来店してもらうことではなく、また買い物をしに来ようと思ってもらうことのはずだ。