マーケティングを支援する米バラシス(Valassis)が先ごろ発表した報告書によると、調査対象者の約80%は、いつもは購入していないブランドの商品でも、クーポンをもらえば購入すると回答した。
調査結果は、アルディやトレーダー・ジョーズなどのディスカウントストア・チェーンが成長を遂げている一方で、クーポンが今も購入に関する消費者の意思決定に大きく影響を与えていることを示すものだ。
そこで生じるのは、価格に関する消費者の認識に影響する心理的な要因は何なのかという疑問だ。また、消費者の心の「買い」スイッチを入れるものは、一体何なのだろうか?
いくつかの調査結果によれば、クーポンでお金を節約できるという喜びは消費者にとって、「いつでも同じ商品をより安い値段で販売している別の店」で買うことよりも、さらにうれしいことのようだ。
クーポンは「脳」に作用
「節約ができる」ということで私たちの感情が高まることは、過去の調査などによってすでに確認されている。一方、「クーポンを引き換えることで得られる高揚感は、元々低価格で販売されている商品を買うことよりも大きい」ことを示す結果もある。これは、消費者が「力を得た」と感じられるかどうかに関わる問題だ。
つまり、節約になる買い物を選択することで私たちは、商品の値段を「自分が管理している」という気になれる。それが、「賢い買い物ができた」という気持ちにつながるのだ。
ただし、専門誌「サイコロジー・トゥデー」に発表された研究結果によれば、「クーポンを使うことで他の消費者より安く買うことができるという喜びが勝り、消費者は実際の支出に気が回らなくなる」という。さらに、「日常的にクーポンを利用している人は、クーポンを使用していない人より出費が多くなる場合もある」そうだ。