「ライト兄弟が飛行機を飛ばしてからの50年で、航空機分野には巨大な進歩が訪れた」とブーム社CEOのBlake Schollは言う。「しかし、ここ数十年で航空機のテクノロジーは実際には後退した。現代最速の航空機は1960年代に最速を誇った航空機よりも遅いのだ」
ブーム社は直近のシリーズAラウンドで3300万ドルを調達。出資元にはYコンビネータのファンドContinuity FundやRRE Ventures、Palm Drive Ventures、8VC、Caffeinated Capitalらの名前が並ぶ。役員会にはYコンビネータ社長のSam Altmanや投資家のGreg McAdooも加わった。ブーム社はこれまでに総計4100万ドル(約46億円)の資金を調達した。
調達資金を元にブーム社は初のテスト航空機、XB-1を製造する。スーパーソニック・デモンストレーター(Supersonic Demonstrator)と名付けられたこの機体は、量産モデルの3分1のサイズで、約1年後の初飛行を予定している。CEOのSchollにとって飛行機の製造は子供の頃からの夢だった。
「コンコルドが運行を停止した時に自分は20代前半で、超音速フライトを体験することは出来なかった。その後、アマゾンやテクノロジー系の企業で働くうちに、この世に不可能な事は無いと思うようになった。しかし、航空機業界のイノベーションは停滞している事に気づいた」
アマゾンを退職後にSchollはスタートアップ企業のKima Labsを共同創業したが、その頃も空への情熱は失わなかった。超音速ジェットに関わるニュースをグーグルアラートで通知するよう設定してチェックしていたほどだ。その後、Kima Labsをグルーポンに売却したSchollは次のビジネスとしてこの分野に乗り込んだ。
コンコルドは燃費が悪すぎで失敗した
「コンコルドが失敗したのは燃費が悪すぎたせいだ。それが原因で運賃が異常な高値になった。業界も顧客も、誰もがもっと速い航空機を求めているのに。だから、最初に考えたのは現在のビジネスクラス並みの料金で超音速フライトが実現可能かどうかという事だった。その答は全部、ウィキペディアに書いてあった」