「古事記」や「日本書紀」に書かれている、日本建国に挺身したとされている武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)を祀る、茨城県・鹿嶋市にある「鹿島神宮」。神武天皇元年(=紀元前660年)に創建された、全国にある鹿島神社の総本社だ。この鹿島神宮が、三越伊勢丹グループのクレジットカード会社エムアイカードとの提携により、日本の神社として初めての試みである「鹿島神宮カード」を今年1月に発行した。
この「鹿島神宮カード」は、いわゆるクレジットカードとして利用できるもので、ゴールドカード(年会費1万円+税)と一般カード(年会費5千円+税)の2種類のカードがある。この”鹿島神宮”の文字と社紋がデザインされた「鹿島神宮カード」限定の特典がまた独特で面白い。
たとえば手元に届くカードは鹿島神宮でお祓いをしていることや、入会の翌年度以降、継続の度に、名簿によるお祓いが同神宮にて行われること、さらにはこのカードを提示すると神職が境内を案内してくれるというサービスや、数々の国宝や重要文化財を所蔵する宝物館への入場が無料になるという特典は、神社ならではのユニークなものだ。
手元に届けられるカードは、神職によってお祓いされたもの。財布に忍ばせておけば金運もあがりそうだ。このカードを鹿島神宮が発行するにあたっての背景はふたつ。
ひとつは鹿島神宮の式年大祭である「御船祭」にかかる費用の調達。12年毎に斎行される「御船祭」は神輿を載せた御座船など約120艘の船団が、同神宮の一之鳥居をくぐって千葉県香取市加藤洲まで水路で向かい、再び鹿島へと戻る水上祭。2014年の斎行時には、新たな社務所の建設費などで約20億円もの費用がかかったといい、鹿島神宮では今後継続的に「御船祭」を斎行していくための資金の確保の方法を模索していた。
約1700年前から続く「御船祭」。約3000人の行列と、約120艘の船団が巡航する盛大な祭典。
鹿島神宮ではこの御船祭の他、年間90もの祭典が行われている。鹿島神宮宝物館に所蔵される国宝。日本最古最大の直刀である「金銅黒漆平文拵・附刀唐櫃」。
数々の重要文化財の他、横山大観による「鹿島洋朝瞰図」なども展示されている。
そしてもう一つの背景は、クレジットカード会社のエムアイカード側の思惑。同社では地域の伝統行事の継承や文化財保護に貢献できる事業を行いたい狙いがあったという。
この両者の思惑が一致し、今回の「鹿島神宮カード」の発行へと繋がったというわけだ。このカードの年会費と、カード利用で貯まったポイントは、御船祭の斎行資金および文化財の保護継承の財源として寄付される。ポイントの寄付は、5000ポイント貯まるごとに自動的に行われ、その寄付に対して「返礼品」が届くという仕組み。
ちなみにこの御船祭は、「あらゆる邪気と不景気を祓う一陽来復の願い」が込められているという。一陽来復とは、冬が終わり春が来ることを指し、転じて悪いことが続いたのちに幸運に向かうことの意。社会貢献をしながらビジネスの成功を祈願するにはもってこいのクレジットカードだ。
鹿島神宮カードは3種類。
上:ゴールドカード(年会費1万円+税)
中:一般カード(年会費5千円+税)
下:相川七瀬さん(かしま大使)デザインの一般カード
▷鹿島神宮カードの詳細はこちら
http://www.micard.co.jp/card/ksm/▷鹿島神宮 宮司のお話・お祓いの様子はこちら