ビジネス

2017.03.17

アマゾンが「ミールキット」事業を拡大、元カリスマ主婦と提携

マーサ・スチュワート (photo by Michael Loccisano / gettyimages)


キットの注文数などについて予測し、材料をそろえて計量し、梱包の準備をするための施設や設備を確保するには、多額の費用が必要となる。また、材料を適温に保つためのボックスに入れ、配送することにもコストがかかる。顧客の大半を占めるミレニアル世代は持続可能性や容器包装廃棄物の問題、環境への影響といった事柄に関心が高く、梱包・配送については苦情も寄せられている。

さらに、各社のサービスを利用するには入会や複数回の利用が条件となっており、各社はさまざまな入会特典を提供している。例えば、ブルーエプロンは「3食分無料」、ハロー・フレッシュは「初回料金は半額」などのサービスを提供する。だが、1食分の平均価格が10ドル以下であることから、各社の黒字転換は可能なのか、経営の持続可能なのか、といった点に疑問の声も上がっている。

ただ、それでもミールキット分野には、今後の成長が期待されている。多くの消費者にとって、材料が事前に計測され、小分けにされて届くことは、健康的な食事を可能にするものだ。また、段階を踏んで作り方を説明するレシピのおかげで、料理を学ぶことができるという利点を挙げる人もいる。さらに、自宅で友人や家族と一緒に料理ができることが気に入っているという人たちもいる。

ミールキットの「社会貢献」

また、持続可能性の推進を目指して活動する非営利団体BSRがブルーエプロンの委託を受けて実施した調査では、ミールキットによって食品の廃棄量を削減できる可能性があることが分かった。

ブルーエプロンの施設に届く食材の量、ミールキットを作り、余った分を地元の非営利団体に寄付し、最終的に廃棄物となる食品の量で調査したところ、米国内の食料品小売店からの廃棄量が平均10.5%(米農務省のデータによる)であるのに対し、ブルーエプロンの施設からの廃棄量は同5.5%であることが明らかになった。

アマゾンの力は増すばかり?

ミールキットを提供するこれら各社が直面している問題の多くは、アマゾンフレッシュのソリューションによって解決が可能になるかもしれない。

一方、アマゾンにとってこの分野での事業拡大は、実店舗型の無人コンビニ「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」、オンライン注文した生鮮食品を店舗で受け取る「アマゾンフレッシュ・ピックアップ(Amazon Fresh Pickup)」でのミールキット販売に注力するにあたっての、格好のテストとなる。

従来型のスーパーマーケットや食品サービス業界にとっては、アマゾンを恐れるべき理由がもう一つ増えたということだろう。

編集 = 木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事