「食のアマゾン」狙うフードデリバリー企業、流通額10億ドル突破へ

ポストメイツ共同創業者兼CEOのBastian Lehmann(Photo by John Phillips / gettyimages)


Lehmannは、さらなる成長を目指して様々な取組みを打ち出している。ポストメイツにとって最大の市場であるロサンゼルスでは、配達専用の厨房を4件オープンさせ、人気店に貸し出す予定だ。レストラン側は、通常手数料の20%よりも高い40%をポストメイツに支払う必要があるが、設備投資をせずに厨房を確保することができる。

また、同社はゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどウォールストリートの大手金融機関と提携し、従業員向けに食事の配達を提供しようとしている。配達スタッフを増員するために、ウーバーやリフトに倣って専用スクーターのレンタルを開始する。

配達スタッフは、月間10件の配達をこなせばスクーターを無料で借りることができる。現状は自転車での配達が多く、同社はスクーターを主流にすることで配達業務の効率化を図りたい考えだ。

酒の配達も開始、アマゾン化を目指す

ポストメイツが配達する商品の80%は調理済みの料理だが、食料雑貨など他のアイテムに対するニーズも高まっている。「我々にとって料理は、アマゾンにとって本のようなものだ。まずはフードデリバリーのノウハウを徹底的に磨き上げてから取り扱い商品を拡大していきたい」とLehmannは話す。現在、ポストメイツ はアップルストアの商品の配達も行っている。

ポストメイツは、1月にロサンゼルスとサンフランシスコの酒屋50店舗と提携して、お酒の配達をスタートした(ドアダッシュも昨年同様のサービスを始め、最近では大手酒屋チェーンBevMo!との提携を発表した)。ポストメイツは、今後食料雑貨店とも提携し、常時配達可能なアイテムを200程度揃えたいとしている。

「我々は、町の商店を倉庫代わりに使い、在庫管理から出荷店舗の選定までコントロールするため、配達を迅速に行うことができる。ポストメイツは、アマゾンのミニ版のようなプラットフォームだと言える」とLehmannは言う。

現状、ポストメイツに登録しているマーチャントの数は7000社だが、ユーザーはポストメイツと提携していない店舗の商品を配達してもらうこともできる(その場合の手数料は通常よりも高くなる)。ユーザーにとっては利便性の高いサービスだが、それを支えるオペレーションは複雑だ。このため、今後取り扱い商材が増える中で、ミスを防止することが同社にとって大きな課題となる。

「我々の最大の強みが、同時に最大の弱みでもある。多くのトラブルは、簡単に修復が可能であり、エンジニアチームが対策を講じてくれることを信じている」とLehmannは話す。

ポストメイツでは、ユーザーから評価の低かった配達について毎日社内会議を行い、改善策を協議している。流通総額が10億ドル規模に成長し、黒字化やIPOを目指す局面において場当たり的な対応では十分とは言えないが、Lehmannはこれが最善の取組みだと確信している。

「今日の課題は、半年前に抱えていた課題や半年後に発生する課題と性質が全く異なる。その場その場で最適な対応をすることが重要だ」と彼は言う。

編集=上田裕資

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