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I cover business and economics.

(Photo by Feng Li/Getty Images)

中国指導部は今、不安に駆られているに違いない。理由は同国の食料経済の問題だ。ロイターが報じたところによれば、中国では今年1月、豚肉の価格が前年比で7.1%上昇した。

心配するほどのことには思えないかもしれない。だが、1989年の天安門事件の本当の原因を知っている共産党関係者らはいら立ち、落ち着きを失い始めるだろう。

天安門事件の引き金になったことの一つは、食品価格の高騰だった。 シカゴ大学社会学部の趙鼎新(Dingxin Zhao)教授が2004年に出版した「The Power of Tiananmen: State-Society Relations and the 1989 Beijing Student Movement」(天安門事件の力:国・社会の関係と1988年の北京の学生運動)によると、当時は豚肉や卵、野菜、砂糖など穀物以外の食料品価格が急騰。国営の小売店で30~60%、自由市場においてはそれ以上に値上がりしていた。学生たちはそうした状況を受けて政府に対する抗議行動に出たが、あっという間に武力で鎮圧された。

政府統計は「希望的観測」

現状はどうだろうか。豚肉やその他の食品の価格がこのまま上昇し続ければ、何が起きるだろうか。市民らは再び、行動を起こすだろうか──?可能性はある。

中国政府はこれまで、経済問題の管理において、成功した試しがない。最近も実施している資本規制(過去の成功例はほとんどない)や、昨年の株価の下落を受けた空売りの禁止(これも効果がなかった)は、市場原理に対する政府の認識の甘さを露呈している。「豚肉インフレ」が続き、1989年の水準に達した場合、政府はどのような対応を取るのだろうか。

また、中国には「政府の統計データ」という問題がある。政府が発表する経済統計は、「事実」というより「希望的観測」だ。このことはすでに、多くの人が知っている。だが、それでも中国政府は、明らかに誤った数字を相変わらず公表している。国民がそれらを信じてくれると、かすかな望みを持ち続けているようだ。

食品インフレが今後も続けば、政府はそのうち、インフレ抑制策は効果を上げたと言い始めるだろう。当然ながら、国民がそうした「公式見解」を信用はずもない。そして、それが天安門事件の「テイク2」につながる可能性もある。

食品価格が発端の「革命」は他にも

食品価格の高騰は、2011年には北アフリカで暴動を引き起こした。その後に拡大した民主化運動「アラブの春」は、背景にインフレがあったのだ。暴動の拡大はシリア内戦につながり、過激派組織「イスラム国」の台頭にもつながった。

中国の現状は今のところ、「食品超インフレの一歩手前」には達していない。だが、暴動のような事態は驚くほどのスピードで、制御不能になり得る。起きるのか、起きるならいつか、警戒しておく必要がある。

編集 = 木内涼子

 

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