ここ数週間、昨年から交際中のヘンリー王子とマークルがともに公の場に姿を見せたことで、婚約のうわさが飛び交っている。王子の親しい友人がジャマイカで挙げた結婚式に、一緒に出席したためだ。また、王子の住まいであるケンジントン宮殿の敷地内にいるマークルの姿が頻繁に捉えられていることも、憶測に拍車をかけている。さらに、マークルは王子の近くに拠点を移すため、出演中の米国のドラマ「SUITS/スーツ」を降板する予定だとも報じられている。
二人のロマンスに関するうわさには興味をそそられるが、それはさておき、英国の王位継承権を持つヘンリー王子(継承権順位5位)が中流階級の一般人、かつ離婚歴のある米国人の女優と結婚するとなれば、それにはさまざまな現実的な問題が伴うはずだ。
女王は認める?「称号」は?
まず、二人はエリザベス女王の許可を得なければ結婚することができない。だが、マークルはまだ女王との面会を果たしておらず、英王室も現在のところ、王子がマークルを正式に王室メンバーに紹介したとは明らかにしていない。
メディアはマークルが「プリンセスの役割」に適しているのかどうかを盛んに取り沙汰しているが、実際のところ、仮に二人が結婚しても、「プリンセス・メーガン」は誕生しない。
英王室の規則では、名前の前に「陛下」または「殿下」の敬称を名乗る権利があるのは、王室に生まれた者だけとされている。例えば、ケンブリッジ公爵夫妻(ウィリアム王子とキャサリン妃)の第2子である「シャーロット王女(プリンセス・シャーロット)」などだ。そのため、2011年にウィリアム王子と結婚するまで一般人(ケイト・ミドルトン)だったキャサリン妃は、「プリンセス(王女)」ではない。
エリザベス女王は結婚を機にウィリアム王子に「公爵」の位を授けた。それにより、キャサリン妃には公爵夫人としての称号が与えられ、「Her Royal Highness, Catherine Duchess of Cambridge、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン殿下」となった。ただし、結婚によって「ウィリアム王子妃」になったケイトは、その意味では「プリンセス」であり、「プリンセス・ウィリアム」の称号も持つ。
話をヘンリー王子とマークルに戻そう。女王が二人の結婚を認めたとすれば、ウィリアム王子と同様、ヘンリー王子にも公爵の位が与えられるだろう。専門家の多くは、女王はすでに、1843年以来断絶している「サセックス公爵」の爵位をヘンリー王子に授ける意向を固めているという。
そうなれば、マークルは「サセックス公爵夫人メーガン殿下」と呼ばれることになるのかもしれない。ただし、それでも厳密にいえばやはり、王女を意味する「プリンセス」ではない。
ダイアナは「公妃」の意味でプリンセス
「プリンセス・ダイアナ」として世界的に知られるヘンリー王子の母、故ダイアナ妃は、チャールズ皇太子との結婚により、「ウェールズ公妃ダイアナ(Diana, Princess of Wales)」となった。
チャールズは二重の意味で「プリンス」だ。まず、王室に生まれ、王位継承順位1位であることで「プリンス(皇太子)」である。さらに1969年、英王室によれば「公国」であるウェールズの「プリンス(大公)」に叙任されたことで、「プリンス・オブ・ウェールズ」でもある。チャールズ皇太子が英国王になれば、ウィリアム王子がこの「プリンス・オブ・ウェールズ」の称号を受け継ぐことになり、キャサリン妃は「ウェールズ公妃キャサリン」となる。