「世界で最も倫理的な企業」、今年は124社に 日本は花王のみ選出

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米FOXニュースに対するセクハラ訴訟から同国の大手銀行ウェルズ・ファーゴの大規模な不正問題まで、2016年もさまざまな企業の不祥事が報じられた。だが、倫理基準を厳格化する企業は年々、増加している。

米シンクタンク、エシスフィア・インスティテュート(Ethisphere Institute)は3月13日、最新の「世界で最も倫理的な企業」リストを発表した。11回目となる今年、リストに名を連ねたのは世界各国の124社。日本企業では唯一、花王が選出された[2016年のリストはこちら]

今回リストに入った各社のうち、アフラックや花王、ペプシコ、スターバックス、ゼロックスなど13社は、リスト作成の開始以来、毎年選出されている。また、今年初めてリスト入りした企業は8社だった。

倫理問題に関する最近の傾向

エシスフィアによれば、2016年に見られた興味深い傾向は、より多くの企業が従業員の不正行為、提訴された件数と自社の対応に関する情報などを開示するようになっていることだ。企業には従来、こうした問題を「部外秘」として扱う態度が見られた。

エシスフィアの関係者は、「効果的な倫理プログラムに不可欠なのは、誰もが気兼ねすることなく懸念を表明できるということだ」との見解を示している。その実現のための最善の方法の一つは、懸念を口にして良いのだという企業側の考えを明示することだという。

評価基準

リスト入りが認められるのは、エシスフィアが設けた「倫理指数(Ethics Quotient、EQ)」スコアで一定の水準を上回った企業だ。EQは以下の5つの評価項目からなる。

1.倫理(コンプライアンス)プログラム
2.倫理規定が社内全体の文化にどの程度定着しているか
3.企業市民活動(コーポレートシチズンシップ)と社会的責任
4.企業統治
5.リーダーシップ、イノベーション、評判

リストに入る企業はまず、自ら審査を申請し、名乗りを挙げる必要がある。その後、自社の事業の過程で倫理問題にどのように対応しているかを明らかにするための200項目の質問に回答しなくてはならない。

エシスフィアはそれらの回答と、米証券取引委員会への提出資料など外部から入手可能な情報、名乗りを挙げた各社に追加提出を求めた資料の内容などに基づき、独自の評価を実施する。各社の評判や訴訟歴、倫理的問題に対する過去の対応について行った分析結果も評価基準となる。

審査申請料は、売上高が5億ドル未満(約574億円)の企業は1000ドル(約11万5000円)、5億ドル以上の企業は1500ドルとなっている。

編集=木内涼子

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